2006 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症における視神経脊髄型の特異病態の解明と病態に基づいた治療法の開発
Project/Area Number |
17390250
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
糸山 泰人 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30136428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 一男 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70280873)
中島 一郎 東北大学, 病院・助手 (50333810)
加藤 英政 東北大学, 先進医工学研究機構, 助教授 (50292123)
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Keywords | 多発性硬化症 / 脱髄疾患 / 視神経脊髄型MS / 通常型MS / 視神経脊髄炎 / 抗アクアポリン4抗体 |
Research Abstract |
本邦の多発性硬化症(MS)の臨床病型として、病変が中枢神経内に播種する通常型MSと視神経炎と脊髄炎のみを呈する視神経脊髄型MS(OSMS)が記載されてきた。その病態を比較解析した。 1.鋭敏な抗アクアポリン4(AQP4)抗体測定法の確立と各疾患群における抗体陽性率 重症の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする視神経脊髄炎症(NMO)に特異な抗AQP4抗体をヒトAQP4をトランスフェクトした細胞を用いて測定した。この方法は従来のマウスの脳切片を用いたNMO-IgG検出法より鋭敏であり、NMO及びそのハイリスク症候群の約90%の症例で陽性であり、MSその他の疾患では陰性であることを明らかにした。したがってNMOは抗AQP4抗体に関連した疾患と考えられる。 2.NMO病変におけるAQP4の消失 NMOとMSの脊髄病変及び脊髄梗塞の免疫病理学的解析により、NMOでは免疫グロブリンや活性化補体が沈着した血管周囲でAQP4が消失していたが、MSの脱髄病変ではAQP4の発現が亢進していた。脊髄梗塞でもAQP4は発現していた。なおNMOではミエリン塩基性タンパクの発現はむしろ保持されていた。これらの事実はNMOにおいてAQP4が免疫病態の標的となっており、MSと根本的に異なる疾患概念であることを示す極めて重要な知見である。 3.NMOとMSの脊髄病変の横断面での比較 多数例の両疾患のMRI脊髄病変を画像ソフトで重層して比較した。NMOでは病変の主座が中心灰白質にあったが、MSでは側索及び後索すなわち白質に病変がみられた。 4.OMS症例の分類 従来OSMSと診断されてきた症例のうち約2/3はNMOであり、残りの1/3は古典的MSの特徴を有する症例であった。 5.NMOの治療法確立 NMOの再発予防療法はこれまで確立していなかったが、長期追跡調査により低容量ステロイド療法が再発率の低下に有効であることを見出した。
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Research Products
(30 results)