2006 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル抑制によるステロイド骨粗鬆症発症の分子機構の解明と発症予測法の開発
Project/Area Number |
17390272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 涼一 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (30154917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大中 佳三 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (30325518)
河手 久弥 九州大学, 大学院医学研究院, 助手 (20336027)
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Keywords | Wnt / LRP5 / グルココルチコイド / ステロイド性骨粗鬆症 / dexamethasone / β-catenin / Dickkopf-1 / sFRP-1 |
Research Abstract |
骨発生後の骨の形成と増加に必須のシグナル系であるLRP5/6-Wnt系をグルココルチコイドが特異的に抑制する。その分子基盤の解明のため、本年度は、ヒト骨芽細胞培養系において、microarray法によるグルココルチコイド標的分子の網羅的解析の結果明らかになったグルココルチコイド誘導性遺伝子の機能解析、Wnt系シグナル伝達分子のうち、canonical pathwayをコードするゲノムのSNP解析を行い、以下の成果を得た。 (1)Wntシグナル系の中のグルココルチコイド標的分子の機能解析:54,675のヒトcDNAを固相化したmicroarrayを用いて、ヒト骨芽細胞のmRNA発現に対する10^<-7>M dexamethasone(Dex)の影響を解析したところ、39個の遺伝子が10倍以土に発現が上昇、483個の遺伝子の発現が50%以下に低下した。Wntシグナル系の構成分子の発現を解析したところ、Dkk-1は20倍以土にその発現が増加した。さらに、ヒト骨芽細胞では、Wnt抑制因子であるsFRP群のうち、Dkk-1よりも低レベルであるが、sFRP-1が発現していることが確認された。このsFRP-1も臨床用量である10^<-7>MDexで発現が上昇することが明らかになった。sFRP-1の発現ベクターを高効率(導入率80%)の電気パルス法でヒト骨芽細胞に導入すると、骨芽細胞の増殖が抑制された。即ち、sFRP-1もグルココルチコイドによる骨形成抑制の責任分子であることが強く示唆された。 (2)Wntシグナル系のcanonical pathwayのゲノム解析:約2,000名の正常対象例よりゲノムを採取、ヒトDkk-1遺伝子を始めとしてWntシグナル系のcanonical pathwayを構成する分子をコードするゲノムのSNPと骨密度の相関解析を開始した。骨密度と相関するいくつかのSNPが同定された。さらに解析を続行中である。
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Research Products
(6 results)