2007 Fiscal Year Annual Research Report
マルチメディエーター制御分子としてのトロンボモデュリン
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17390282
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任准教授 (30284897)
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
内村 友則 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20363616)
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20381171)
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Keywords | HMGB1 / トロンビン / トロンボモデュリン / 播種性血管内凝固症候群(DIC) |
Research Abstract |
1.局所性HMGB1の機能 1)ラットの皮膚内に同種ラットの皮膚を移植し、HMGB1のダイナミズムを病理学的に検討し、以下の結果を得た。 (1)植片内と移植辺周囲に宿主側にはHMGB1(+)のT細胞、単球が浸潤していた。 (2)HMGB1の抗体、あるいはトロンボモデュリン(TM)でHMGB1の活性を中和すると移植辺の拒絶も抑制された。 (3)これらの結果から、移植辺とその周囲に集積した炎症細胞からは、HMGB1が放出され、これが、炎症と凝固(微小血栓形成)、自然免疫誘導により、結果として拒絶反応を惹起しているものと考えられた。 (4)この拒絶反応はHMGB1中和抗体で制御可能である。 2.Systemic HMGB1は炎症、血管内凝固のメディエーターで、それがトロンボモデュリンで制御可能である ラットにトロンビン±HMGB1を投与し、凝固/炎症系、臓器解剖の面から評価した。結果、 1)トロンビンはHMGB1の自然免疫誘導、凝固促進反応を増幅し、HMGB1のcofactorとして作用していること、ヒトの臨床例での播種性血管内凝固症候群(DIC)の場合も単独では起こらず、両因子が血中に揃ったときに発症すること、すなわち、HMGB1はDIC,SIRSのコファクターとして働くことが証明された。 2)血管内皮細胞のトロンボモデュリン(TM)のN末端:レクチン様ドメインにHMGB1は結合し、活性が中和され、局所のHMGB1は血管内皮細胞上のTMにより、入り口でブロックされると想定している、 3)TMのN末端側に結合し、中和されたHMGB1はトロンビン・TM複合体で分解された。実際のショックの患者でも、このトロンビン・TM複合体で分解されるのと同じ断片が血中に証明された。 以上の結果より、血管内皮細胞上のTMは"血管の守護神"として作用し、障害局所で生成されたHMGB1が、循環器内に流入するのをブロック、分解し、反応局所制御系として働いている。
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Research Products
(3 results)