2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390283
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
三谷 絹子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50251244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 和宏 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50337391)
佐々木 光 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60282638)
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Keywords | AML1 / Evi1 / 白血病 / 転写因子 / ノックインマウス / ノックアウトマウス / 胎仔肝造血 / PU.1 / GATA-1 |
Research Abstract |
AML1/Evi1は造血幹細胞腫瘍の急性転化で観察されるt(3;21)の結果形成されるキメラ型転写因子遺伝子である。当研究室で作製されたAML1/Evi1ノックインマウスは、AML1ノックアウトマウスと同様に中枢神経系の出血により胎生致死となり、胎仔肝造血が廃絶している。しかしながら、コロニー・アッセイにより、AML1ノックアウトマウスの胎仔肝には造血前駆細胞が全く検出されないのに対して、AML1/Evi1ノックインマウスの胎仔肝には分化異常があり(赤芽球には分化せず、異形成のある骨髄球および巨核球にのみ分化する)、自己複製能の亢進した造血前駆細胞が残存していることが明らかになった。 本年度は胎存肝造血におけるAML1/Evi1の標的遺伝子を同定する目的で、造血制御に関与している転写因子遺伝子群の発現をAML1ノックアウトマウスとAML1/Evi1ノックインマウスで半定量PCR法によって比較した。AML1ノックアウトマウスではPU.1の発現がほぼ消失していたが、AML1/Evi1ノックインマウスでは残存していた。PU.1の発現維持がAML1/Evi1ノックインマウスの胎仔肝造血における造血前駆細胞の残存に関与している可能性がある。PU.1の標的遺伝子CD11bの発現もAML1/Evl1ノックインマウスにのみ認められた。一方、AML1ノックアウトマウスとAML1/Evi1ノックインマウスの両者で赤芽球分化に重要なLMO2及びSCLの発現が著減していた。いずれのマウスにおいてもGATA-1の発現は維持されていたが、AML1/Evi1ノックインマウスではGATA-1の標的遺伝子ALAS-E及びβ-globinの発現がより強く抑制されていた。これはAML1/Evi1陽性細胞で発現しているPU.1がGATA-1の機能を負に制御している結果であると考えられた。AML1/Evi1ノックインマウスの造血前駆細胞が赤芽球分化能を失っているのは、赤芽球分化に必須の転写因子群が機能的に失活しているためと推測された。
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Research Products
(6 results)