2005 Fiscal Year Annual Research Report
血小板特異的インテグリンαIIbβ3はマスト細胞で何をしているか?
Project/Area Number |
17390287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北浦 次郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30282651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Keywords | IntegrinαIIbβ3 / マスト細胞 / 接着 / ファイブリンーゲン / IntegrinαVβ3 / フォンビルブランドファクター / ビトロネクチン / 炎症増悪・修復 |
Research Abstract |
我々は、巨核球・血小板特異的なマーカーと考えられてきたIntegrinαIIbβ3がマスト細胞に高発現していることを見出した。まず、マウス骨髄由来マスト細胞、腹腔マスト細胞、皮膚・肺由来マスト細胞を使用してマウスの粘膜型及び結合織型マスト細胞に高発現していることを示し、さらに、ヒト臍帯血由来マスト細胞を利用してヒトマスト細胞にも高発現していることを確認した。機能的には、このIntegrinαIIbβ3を介して、マスト細胞は種々の刺激(IgEレセプターの架橋、SCFなど)により、ファイブリノーゲンやフォンビルブランドファクターに接着することを明らかにした。特に、ファイブリノーゲンへの接着は、はぼ完全に、IntegrinαIIbβ3依存的であり、その生理的意義の探求に焦点を移した。現時点で確認された現象は、マスト細胞は、SCF刺激によるIntegrinαIIbβ3依存的なファイブリノーゲンへの接着を介して、増殖・遊走・サイトカイン産生を高めることであり、組織におけるファイブリノーゲンの漏出に伴いマスト細胞が炎症を増悪させると考えられた。また、可溶性のファイブリノーゲンをIntegrinαIIbβ3を介して細胞内に取り込む現象も確認されたことより、一旦生じた炎症の修復機構にも関与している可能性が示唆された。現在、炎症の増悪・修復双方の観点から、さらに研究を進めている。次に、IntegrinαIIbノックアウトマウスの解析を開始した。その結果、IntegrinαIIbを欠損したマスト細胞では、IntegrinαVβ3が高発現し、刺激でファイブリンーゲンに対する接着を認めないが、ビトロネクチンへの接着は亢進した。このマスト細胞にIntegrinαIIbをレトロウイルストランスフェクションを利用して再構築するとIntegrinαIIbβ3の発現とともにIntegrinαVβ3の発現が減少し、ファイブリノーゲンへの接着が回復する一方で、ビトロネクチンへの接着は正常化した。これらの結果より、マスト細胞では、IntegrinαIIbとIntegrinαVが競合的にIntegrinβ3と結合すること、ファイブリノーゲンへの接着はIntegrinαIIbβ3を介して、ビトロネクチンへの接着はIntegrinαVβ3を介し、フォンビルブランドファクターへの接着はIntegrinαIIbβ3とIntegrinαVβ3の両方を介していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)