2005 Fiscal Year Annual Research Report
IL-6阻害による免疫難病の治療法の確立と発症機構の解明
Project/Area Number |
17390290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西本 憲弘 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80273663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 俊平 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10158363)
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Keywords | 若年性特発性関節炎 / 全身性エリテマトーデス / ヒト化抗IL-6受容体抗体 / トシリズマブ / DNAマイクロアレイ / IL-6阻害治療 / インターフェロンα / defensin-α |
Research Abstract |
若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)などの難治性免疫疾患の病態に炎症性サイトカインの過剰産生が関わっており、それらを標的とする分子標的治療が考えられる。特に全身型JIAは予後不良の疾患であり、TNFα阻害治療も無効である。我々はヒト化抗IL-6レセプター抗体(トシリズマブ)によるIL-6阻害が、全身型JIAの症状を改善することを明らかにした。しかも、血中IL-6を正常化し、トシリズマブ治療を中止しても再燃しない症例を見出した。そこで、治療効果の発現機序ならびに根本的原因の解明を目的として、DNAチップを用いて30000個の分子のmRNA発現量の変化を網羅的に解析し、IL-6阻害治療前後で変動する分子の検索を行った。また、治療反応性予測に有用な分子の検索を行った。 全身型JIA、多関節型JIAに特徴的な発現を示す(p<0.005)分子をそれぞれ24分子、64分子同定した。この内、10分子は共通していた。これらには自然免疫関連、シグナル伝達、細胞増殖に関わる分子が含まれた。また、IL-6阻害治療の前後で変動する分子を複数同定し、現在その機能を検討中である。 活動性SLEにおいて有意差p<0.005をもって発現が増強または減少していた分子は295分子あり、健常人の2倍以上または2分の1以下の分子はp<0.005で24分子あった。それらの上位にはインターフェロンαによって誘導される9分子ならびに抗菌ペプチドであるdefensin-αが含まれていた。これらの分子は疾患活動性をよく反映し、治療前のmRNA発現プロフィールはSLE群に、治療後は健常人群に分類されることが確認された。また、免疫抑制療法に抵抗性を示した難治性SLE患者に、トシリズマブによる探索的治療を行い、投与前と投与後の末梢血細胞中mRNAの比較からIL-6阻害に伴い変動する5分子を同定した。
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Research Products
(11 results)