2006 Fiscal Year Annual Research Report
IL-6阻害による免疫難病の治療法の確立と発症機構の解明
Project/Area Number |
17390290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西本 憲弘 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80273663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 俊平 横浜市立大学, 医学研究院, 教授 (10158363)
美馬 亨 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (30373517)
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Keywords | 若年性特発性関節炎 / 全身性エリテマトーデス / ヒト化抗IL-6受容体抗体 / トシリズマブ / DNAマイクロアレイ / IL-6阻害治療 / インターフェロン |
Research Abstract |
若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)などの難治性免疫疾患の病態に関与する炎症性サイトカインを標的とした分子標的治療が開発されている。我々はヒト化抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)によるIL-6阻害が、全身型JIAの症状を改善することを証明した。IL-6阻害治療効果の発現機序ならびに根本的原因の解明を目的として、DNAチップを用いて30000個の分子のmRNA発現量の変化をIL-6阻害治療前後で網羅的に解析した。また、病態・予後が異なる全身型JIAと多関節型JIAに特徴的な遺伝子発現プロフィールを、バイオインフォマティクスを用いて解析し、それぞれの病態形成に関わる細胞機能異常の解明を試みた。 全身型JIA51症例、多関節型JIA6症例、健常児8例の末梢血細胞中のmRNA発現量をDNAチップを用いて測定し、異常発現分子に対するGene Ontology解析ならびにNetwork,Pathway解析から病態形成に関連する細胞機能異常の同定を試みたところ、全身型JIA、多関節型JIAともに免疫関連分子(IFN-γ, TNFカスケード)、蛋白合成関連分子(MYCカスケード)の発現は亢進し、RNA合成に関わる分子は低下していた。しかし、全身型JIAのみでRNAスプライシング、ATP合成に関わる分子の低下が見出された。このことから、IFN-γ,TNFカスケードの異常はJIAの共通病態であり、さらにRNAスプライシングとATP合成の低下は全身型JIAの病態に特徴的であることが示唆された。しかも、これらの分子の発現は、IL-6阻害治療により回復したことから、病態形成に関わっていると考えられる。 一方、SLE患者では免疫機能については、IFNで誘導される分子群の発現は亢進していたが、TNFで誘導される分子群は低下し、TNFシグナル伝達の異常が病態に関与している可能性が示唆された。また、蛋白異化と細胞周期に関わる分子群が亢進していた。現在、サイトカインシグナルの異常の有無を検討中である。
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Research Products
(7 results)