2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼ1欠損と全身性慢性炎症に対する防御機構の破綻
Project/Area Number |
17390298
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小泉 晶一 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授 (50019973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 善仁 金沢大学, 医学系研究科, 准教授 (30204366)
犀川 太 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (60283107)
太田 邦雄 金沢大学, 医学部附属病院, 助教 (00303280)
新井田 要 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (40293344)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 炎症 / 凝固線溶系 / 単球 / 内皮細胞 / 血管炎 / CD 163 / 腎尿細管 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ1(HO・1)はヘムをー酸化炭素(CO)とビリルビンとフェリチン(Feより誘導される)に代謝する律則酵素である。われわれが世界で初めて発見した「ヒトH0-1欠損」症例(1999)は2歳頃からの全身性慢性炎症が増悪し,6歳で死亡した。本症例のこれまでの病態解析から,患児では本酵素の欠損によって慢性炎症に対する防御機構が破綻したものと考えられた。本研究では、これらを背景として、H0-1の、生体へのストレス防御因子としての役割を解明し、本年度に下記の研究成果を得た。 (1)HO-1欠損症の臨床特徴は、造血系単球と組織内皮細胞の障害に起因する。 (2)HO-1欠損症では、外因性酸化ストレスによって、全身性炎症と凝固線溶系の著しい充進を惹起し、ストレスが長期に継続すると、免疫系や凝固線溶系が消耗、破壊される。 (3)さらに、単球等細胞表面にはヘモグロビンHb/ハプトグロビンHpコンプレックスを補足するCD163分子が存在し、Hb/Hp/CD163結合がHO-1を誘導すると考えられる。先天性心疾患手術時においては、ハプトグロビンを投与した患者群で単球中HO-1mRNA発現が強く、さらにin vitor研究では、ステロイドを添加すると単球のCD163の発現が有意に上昇し、HO-1発現も増強されることがわかった。 (4)尿沈さの尿細管細胞を収集し、細胞内のHO-1をEIA法で測定すると、 HO-1量は血尿や蛋白尿の程度と相関した。したがって、尿沈さ細胞中のHO-1濃度測定は、腎尿細管傷害を評価する非侵襲的な方法として有用であろう。 (5)以上、H0-1欠損症の詳細な検討は、システミックな炎症発症における新しい病態機序の解明に役立ち、そして、新しい治療法の開発に繋がるかも知れない。
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Research Products
(5 results)