2006 Fiscal Year Annual Research Report
第VIII因子/VWF複合体の機能制御に基づく新しい抗血栓症戦略
Project/Area Number |
17390304
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉岡 章 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40106498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 緑倫 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (30162663)
杉本 充彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80192128)
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60316081)
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Keywords | 第VIII因子 / VWF / 生理的血流 / 血栓症 / フローチャンバー / ADAMTS13 |
Research Abstract |
心筋梗塞や脳梗塞をはじめとした致死的な病的血栓症は多彩な要因で成立するが、生体防御に本来必須である止血機構が発症トリガーになると考えられている。止血機構は血小板粘着・凝集相と血液凝固相の2つが協調的に機能して成立するが、興味深いことに各々の相で中心的役割をはたすvon Willebrand因子(VWF:血小板粘着・凝集)と第VIII因子(FVIII:血液凝固)の2分子は生体では複合体を形成して存在することが知られている。本研究では古典的な血小板生物学や血液凝固学の枠組みを越えた視点で、第VIII因子/VWF複合体の包括的な血栓促進機能を生理的血流下で解析し、この複合体の適正な制御による新しい抗血栓症戦略の構築を目標とする。 研究初年度である平成17年度は、(1)第VIII因子の制御:高感度トロンビン形成測定装置を導入し、従来の凝固アッセイでは検出不可能であった微妙な第VIII因子機能の解析をおこなった。(2)VWFの制御:数種抗VWF切断酵素モノクローナル抗体をスクリーニングし、この切断酵素のドメイン構造と生物学的機能の相関を蛋白生化学的手法で解析した。同時に、モノクローナル抗体を用いた新しい活性測定法を確立した。 これら初年度の成果をもとに、研究第2年度である平成18年度は(1)第VIII因子の制御:強力な生理的線溶因子であるプラスミンの第VIII因子制御機能の分子メカニズムの解明をおこない、血栓形成メカニズムにおける第VIII因子の適正制御デザインの構築を進めた。(2)VWFの制御:初年度に確立したモノクローナル抗体を基盤とした新しいVWF切断酵素活性測定法を用いて、肝疾患を中心とした後天的ADAMTS13欠乏症の病態解析をすすめた。(3)同時に、VWF切断酵素活性を生理的血流下で評価する系を確立し、ずり速度依存性のADAMTS13活性発現機構を解析した。研究最終年度である平成19年度にはこれらの成果をもとに、包括的に第VIII因子/VWF複合体制御を基盤とする血栓形成制御戦略の構築を押し進める予定である。
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Research Products
(25 results)