2006 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトール代謝遺伝子改変マウスの作成およびそれを活用した精神疾患病理回路の解明
Project/Area Number |
17390323
|
Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー (30249958)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 哲生 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80373281)
山田 和男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (10322695)
岩山 佳美 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, リサーチアソシエイト (60399441)
|
Keywords | 躁うつ病 / 気分安定薬 / リチウム / リチウム / 統合失調症 / 熱性けいれん / モデルマウス / ENU |
Research Abstract |
IMPase (myo-inositol monophosphatase)はイノシトールリン酸を代謝する経路における最終ステップを触媒し、イノシトールを生成する。IMPaseは気分安定薬リチウムの標的とされていることから、その機能と精神疾患(とくに気分障害)の病理との関連が注目されている。IMPaseをコードする遺伝子にはIMPA1があり、この遺伝産物のIMPase活性は臨床濃度のリチウムによって阻害される。IMPA1とは別に構造上極めて近縁な酵素をコードするIMPA2が存在する。本研究では、不明であったIMPA2のタンパク質としての基本的性質を調べ上げた。IMPA2は酵素学的にはIMPase活性を持っていたが、IMPA1と比較すると微弱であり、その他の酵素学的パラメーターもIMPA1と大きく異なっており、臨床濃度のリチウムによる阻害は限定的であった。IMPA1,2は、脳以外の組織では腎臓や小腸にも豊富に発現することが、我々が開発した特異的抗体により判明したが、その発現は際だった対照的なパターンをしめした。すなわち、IMPA1は腎臓全体に強く発現し、IMPA2は遠位尿細管に特異的な発現を認めた。小腸おいても、IMPA1のブロードな発現とはことなり、腸腺にのみ強く発現していた。 我々は、日本人サンプルを用いて、IMPA2遺伝子と躁うつ病の遺伝学的関連について検討し、プロモーター領域のSNPとの有意な関連を認めた。ルシフェラーゼアッセイの結果、リスクSNPはプロモーターの活性を上昇させることで、疾患脆弱性形成に関与する可能性が示された。これとは別にIMPA2の結晶構造も新たに明らかにした。本研究により、IMPaseの機能やイノシトールリン酸代謝系と疾患の病理に関連に対して、総合的な理解に対して重要な貢献を行うことができたと考えられる。
|
Research Products
(6 results)