2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア膜電位依存的腫瘍集積性を示す放射性薬剤の集積意義と新規薬剤への展開
Project/Area Number |
17390330
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (20209399)
小川 美香子 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (20344351)
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Keywords | 腫瘍 / 核医学 / PET / SPECT / 膜電位 / 放射性医薬品 |
Research Abstract |
腫瘍核医学においてTl-201やTc-99m-MIBI(以下、MIBIと略す)のような脂溶性カチオンが一部の腫瘍に集積し、腫瘍イメージング上有用であることは良く知られている。Tl-201およびMIBIはいずれも心筋血流シンチグラフィに用いられているが、最近の研究では心筋集積機序に大きな違いがあり、異なった輸送系により細胞内に取り込まれるとともに、細胞内での動態も異なることが報告されている。特にMIBIは細胞内でその多くがミトコンドリア画分に存在し、ミトコンドリア膜電位に依存した動態を示すと考えられている。事実、心筋細胞の膜電位は他の組織に比べてより低いことが知られている。同様に、正常細胞に比べて腫瘍細胞のミトコンドリア膜電位はより負に帯電しているものもあることから、この電位差に依存してMIBIが腫瘍に取り込まれているものと考えられる。そこで、この様な脂溶性カチオンの腫瘍集積性に関してモデル実験系を用いて検討し、その集積意義に関して検討すること、およびその結果をもってより有用性の高い新規放射性医薬品の開発研究に有効な指針を示すことを本研究の目的として検討を行った。 まず種々の腫瘍細胞系を準備し、それぞれの性格付けを行うことを目的として、細胞培養系を整備した。この目的のために本研究費によりCO2インキュベータSANYO社製・MCO-96型、および、倒立顕微鏡OLYMPAS社製・CKX41型をそれぞれ購入した。なお、コントロール細胞としてNIH3T3を用いることとした。各細胞の代謝能を表現していると考えられる細胞膜電位の評価を目的として、DiBAC_4(3)とフローサイトメーター用いて測定することとし、その測定系の検討を行っている。さらにJC-1という蛍光色素を用い、細胞を破砕することなくミトコンドリア膜電位を評価可能な測定系を確立しているところである。また、MIBIを実験的に用いるには標識後、長時間にわたり標識体が安定であることが期待されるので、標識後の安定性の時間変化を評価すると共に、正常マウスにおける体内動態を検討した。
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