2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵移植におけるドナー特異的ミスマッチ抗原門脈内投与による新しい免疫制御療法の開発
Project/Area Number |
17390346
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 好信 Niigata University, 医歯学系, 講師 (20313538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30005079)
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Keywords | 生体膵移植 / I型糖尿病 / 免疫寛容 / キメリズム / ドナー抗原門脈内投与 / 同所性部分膵臓移植 |
Research Abstract |
当院では2例目、我が国では3例目となる、合併症のない1型糖尿病に対する生体単独部分膵臓移植を実施した。手術方法は、ドナー手術は日本初の腹腔鏡補助下の脾合併膵体尾部切除、レシピエント手術は世界初となる同所性部分生体膵臓移植を施行した。また本研究のテーマである。生体膵臓移植の新しい免疫抑制療法として、我々が生体肝移植で行っていると同様に、ドナーよりの分離白血球を定期的に門脈内に投与した。術後は膵空腸吻合の縫合不全もなく経過良好で、約2週間で一旦退院している。術後アミラーゼやリパーゼの上昇もなく、今のところ拒絶反応は起きていない。術後の免疫学的解析では、サイトカイン産生ではIL-10が1週間目で高値となっており、IL-2,IFNrは完全に抑制されていた。またフローサイトメトリークロスマッチ解析では、やはりCD3+IgMが1週間をピークに抑制されており、Th-2タイプが活性化しており、生体肝移植と同様の結果がでている。実際の免疫抑制療法では、FK506とMMFの2剤による維持療法で、ステロイドフリーレジメで拒絶反応もなく経過しており、我々の新しい免疫抑制療法は、生体膵臓移植にとって有効な方法と成る可能性が示唆された。今後臨床症例を重ねるとともに、臨床的、基礎的解析を進めていきたい。
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