2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子腫瘍工学手法による細胞小体"Exosome"を用いた次世代癌治療法の開発
Project/Area Number |
17390351
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片野 光男 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅史 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30372741)
森崎 隆 九州大学, 大学院医学研究院, 非常勤講師 (90291517)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 助手 (30315080)
谷 憲三朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (00183864)
居石 克夫 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70108710)
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Keywords | エキソゾーム / 細胞小体 / 樹状細胞 / ワクチン療法 / 免疫療法 / 癌性腹水 / 制御性T細胞 / 機能分子 |
Research Abstract |
昨年度は、研究計画のうち、次世代の癌治療法開発のための1)高exosome分泌細胞としてHER2高発現exosome分泌肺癌細胞株の樹立、2)HER2分子を応用することによるexosomeの精製能の改善、3)exosomeの新たな免疫学的機能を明らかにすることができた。 本年度は、これら研究結果をもとに、本研究の主目的である次世代癌治療へのexosome応用を1)機能小体へのexosomeの改変と、2)exosomeの免疫学的機能の解析に焦点を当てて検討した。 1)機能小体へのexosome改変:ヒト末梢血由来樹状細胞ヘアデノウイルスベクターを用いてHER2およびCEA遺伝子を導入し、抗Class II抗体により純化したexosomeを回収し、exosome上へのHER2およびCEA発現を確認した。特に、興味あることは、これら遺伝子導入により樹状細胞膜上への発現は極めて弱かったが、このような状況においてもexosomeでの発現が可能であり、かつその発現強度は高いことがFACS解析より示唆された。この結果は、任意の蛋白をexosome土に発現させることが可能であり、exosomeが新たな抗原提供物質として応用しうる可能性を示唆している。 さらに、exosomeが他の細胞膜へ接着する現象を共焦点レーザー顕徴鏡により再確認することができた。 2)これまで、樹状細胞由来exosomeのCD4T細胞の寿命延長作用、NK細胞活性化機能、樹状細胞への分化補助機能などを見出してきたが、本年度は、癌性胸膜水中exosomeの制御性T細胞の寿命延長作用を示唆する興味ある結果を得た(外科学会等で発表、論文作成中)。一方、本研究と平行して実施中のワクチン療法患者の臨床経過と制御性T細胞の関連解析により制御性T細胞がワクチン療法の適応や効果予測因子となることが示唆された。このことは、血中あるいは癌性膜水中exosome除去やexosome機能中和によるワクチン効果改善の可能性や自己免疫治療への応用などといった新たな視点に立ったexosomeの臨床応用の可能性を示している。 しかし、われわれは、当初exosome上にPatchedを発現させる計画であったが、現在もPatched分子の発現には成功していない。しかし、この研究を通して、中和活性を有するPatched抗体の作成に成功した(論文投稿中)。
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Research Products
(5 results)