2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容誘導機序の解明および免疫制御細胞療法の確立に関する研究
Project/Area Number |
17390355
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立成育医療センター(研究所), 移植・外科研究部, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 健二郎 獨協医科大学, 医学部・解剖学(マクロ)講座, 教授 (20094047)
木村 広光 国立成育医療センター(研究所), 共同研究管理室, 室長 (80115477)
藤 直子 (舟島 直子) 国立成育医療センター(研究所), 共同研究管理室, 流動研究員 (60399483)
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Keywords | 制御性Tリンパ球 / CD28superagonist抗体 / GvH反応 / 心移植 / FoxP3 / 免疫細胞療法 |
Research Abstract |
本年度の研究では、生体内数少ないTreg細胞の持つ免疫反応抑制能および免疫寛容誘導能の臨床応用にむけて、Treg細胞の増殖作用を有する抗CD28superagonist抗体(SupCD28抗体)を用い、(1)Treg細胞の増殖システムの構築;(2)増殖したTreg細胞の細胞増殖反応抑制およびその起源の検証;(3)GvHD、心臓移植モデルの免疫抑制効果について検討を行った。先ず、我々は4-6週齢のLewisラットにSupCD28抗体1mgを投与し、3日後各末梢リンパ組織のCD4、CD25陽性細胞の割合が通常2-3%から14%にまで上昇し、IL-2、IL-4、IL-10発現の増強が確認できた。また、SupCD28抗体処置群由来リンパ球集団が抗体またはアロ抗原刺激によるT細胞の増殖反応を抑制し、GvHDの発症を抑制したことを明らかにした。次に、我々はnatural occurring Treg(自然発生型Treg、nTreg)細胞のマスター遺伝子であるFoxP3を指標に、この抗体で増殖したCD4、CD25陽性細胞のnTregとの比較およびその起源について検討を行った。MACSにて分離した増殖したCD4、CD25陽性細胞がFoxP3、CTLA-4、IL-10等分子を高発現し、nTreg細胞と同様の細胞増殖抑制を有していた。また、SupCD28抗体はnTreg細胞を優位に増殖させ、増殖したTreg細胞の起源はnTreg細胞であることを明らかにした。最後に、我々は同系ラット心移植モデルを用い、SupCD28抗体の投与による心臓移植片の顕著な生着延長効果を確認した。その移植片生着延長効果は、末梢血中のみならず、移植片中浸潤細胞のFoxP3陽性Treg細胞数が増加していることを明らかにした。SupCD28抗体により増殖したTreg細胞による免疫抑制機序の関与が示唆された。これらの研究結果から、Treg細胞のもつ免疫寛容誘導・維持機構の一端が明らかとなり、また、人為的に増殖させたTreg細胞の動物モデルにおける有用性が示されたことから、Treg細胞を用いた免疫制御細胞療法の確立および移植医療への応用に、さらなる展望が開けたものと期待する。
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Research Products
(6 results)