2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化器外科領域における分子標的治療に向けた包括的基盤研究
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17390357
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (80256510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
松下 通明 北海道大学, 医学部, 教授 (20250425)
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
大河内 信弘 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (40213673)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00206385)
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Keywords | 肝再生 / 肝細胞内シグナル / 細胞増殖 / 細胞成長 |
Research Abstract |
肝再生のプロセスを解析する目的で、以下のようなマウスを用いた動物モデルを作成し、実験・検討した。 1)正常肝における30-70%肝切除モデルの作成と細胞内シグナル解析 正常肝切除後の再生における細胞増殖、細胞成長の役割を評価する目的で、MAPK/NF-kB経路、Jak/STAT3経路、PI3K/PDK1/Akt経路を中心に解析した。NF-kB経路は、chemical inhibitorであるDHMEQをもちいて、後者はそれぞれ肝特異的STAT3ノックアウトマウス、肝特異的PDK1ノックアウトマウスを作成し肝切除実験をおこなった。その結果、肝の再生には、細胞増殖および細胞成長がともに重要であるが、それぞれSTAT3とPDK1がキーとなる役割を果たしていることが明らかとなった。興味深いととに、細胞増殖が強く抑制された状態でも、肝再生は細胞成長により補われるが、細胞成長が抑制されると(それに関わるシグナルが働かないと)肝再生はきわめて不良で簡単に肝不全に陥ることが判明した。 2)正常肝と脂肪肝における肝再生機序の違いの解析 脂肪肝は、肝再生が不良で容易に肝不全に陥るため、脂肪肝マウス(db/dbマウス)をもちいて、肝再生のプロセスを正常肝の肝再生と比較検討した。このモデルは、leptin受容体のない過食モデルであり、日本を含め欧米でも問題になっている脂肪肝のよいモデルであると考える。このモデルでは、肝切除後の再生は低下しており、70%の肝切除後でも生存率に正常との有意差を認めた。核内の細胞増殖に関係するたんぱく質の発現低下が認められ(Mytl, Weel)これが要因と考えられたが、逆に細胞質内のシグナル分子(STAT3)は正常に発現しており、(negative feedbackがかかり)肝切除後過剰に反応していた。 3)肝切除後肝再生のサイトカイン産生による評価 肝再生の評価を術前後のサイトカイン(とくにIL-6,HGF)の動きと再生の良否を評価、報告した。
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