2007 Fiscal Year Annual Research Report
Aktlによる骨軟骨代謝調節機構の解明-ノックアウトマウスおよびヒトゲノムSNPsの解析
Project/Area Number |
17390410
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 由紀則 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (30396741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 客員教員 (10361495)
馬淵 昭彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 客員准教授 (80312312)
原 慶宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00422296)
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Keywords | 軟骨 / 成長板 / Akt / 石灰化 / インスリン / 軟骨内骨化 |
Research Abstract |
Aktはインスリン/IGF/IRSやBMPなど軟骨内骨化を制御する因子に共通の細胞内シグナル分子である。今年度は軟骨細胞におけるAktの軟骨内骨化への関与を検討した。 マウス肋軟骨由来軟骨細胞における3種類のAktアイソザイムの発現はAkt1が最も優位だった(real-time RT-PCR)。 Akt1の欠損マウス(Akt1-/-)の解析では,四肢,体幹ともに同胞野生型マウス(WT)に比べて骨格の成長障害があった。Akt1-/-では成長板の幅や柱状構造は正常で,増殖層(BrdU取込み),肥大層(COL10免疫染色)ともにWTと差がなかったが,石灰化軟骨層が減少していた(von Kossa染色)。Akt1-/-肋軟骨細胞の細胞増殖能はWTと同様であった(CCK-8 assay)。 マウス軟骨前駆細胞株ATDC5に,恒常活性型Akt1(CA-Akt1)を過剰発現させても,si-Akt1を導入して発現抑制しても,細胞増殖能(CCK-8 assay)は変化なく,ITSによる分化誘導下でのAlciai blueおよびALP染色,luciferase assayによるCOL10 promoter転写活性も不変だった。 更に,ITSに加えてリンを添加したところ石灰化が誘導された(Alizarin red染色)が,この作用はCA-Akt1によって促進され,si-Akt1によって抑制された。 石灰化制御因子であるピロリン酸の主な調節分子ANK,NPP1, Pit1はITS+リン添加による石灰化誘導と共にその発現が上昇した(RT-PCR)が,これらはどれもCA-Akt1およびsi-Akt1によって影響されなかった。 軟骨細胞におけるAkT1シグナルは,その増殖,基質産生,肥大分化には必須ではないが,その後の石灰化を促進,軟骨内骨化を維持することによって骨格の成長を制御していることが明らかになった。
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