2006 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺ホルモンの骨形成促進作用の分子メカニズムに関する戦略的研究
Project/Area Number |
17390413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 直史 東京大学, 医学部附属病院, 客員教員 (10361495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 俊樹 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20376479)
鄭 雄一 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30345053)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | 副甲状腺ホルモン / 骨形成 |
Research Abstract |
本年度は、Gαqの骨芽細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスがCre/loxPシステムを用いて作製され、数も増えたので骨組織の解析を行った。 Western blotting法により骨芽細胞特異的コンディショナルノックアウトマウス由来組織でのGαqタンパクの消失を確認したところ、ほとんどの臓器においてGαqタンパクは多く発現していたが、骨組織に於いてはその発現は認められず、骨組織特異的なGαqタンパクの消失が本ノックアウトマウスに於いて確認された。RT-PCR法によるGαq遺伝子の発現も骨組織で有意に低下しており、遺伝子レベルでの骨組織特異的な発現低下も確認された。 Gαq骨芽細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスは生後問題なく生まれ、外見上正常であった。現在40週齢まで継体中であるが、特にワイルドタイプマウスと生存率に差は無く、また妊娠率もワイルドタイプとの差も無く分娩も正常であった。成長後も同マウスでの成長障害もなく体重、身長共に差は認められなかった。組織学的検討においては、脛骨、大腿骨、頭蓋骨、椎体、肋骨を1,2,4,8,12週齢で検討したが、ワイルドタイプとの組織学的有意差は認められなかった。骨密度測定においても有意な差はなかった。以上より、生理的条件下に於いては骨芽細胞特異的Gαqノックアウトマウスでの有意な表現形は確認されなかった。 現在、同マウスに副甲状腺ホルモンを投与し、その骨形性能に差が見られるか検討中である。また骨折モデルを作製し、骨折治癒過程に差が見られるか検討を開始している。 細胞系の実験に於いては、引き続き我々が確立したPTHの骨形成促進作用が認められる骨芽細胞様細胞株(MC3T3E1、ST2等)培養系を用いてPTHシグナルの下流分子の解析を行った。Gαsおよびをこれらの骨芽細胞に同時に強制発現させその発現バランスにより、骨芽細胞分化、および破骨細胞形成支持能に差が現れるかを検討した。Gαsを過剰発現させることにより多くの骨形成マーカーが上昇し、また骨吸収誘導能を持つRANKLの発現も亢進していた。一方、Gαqを強制発現させると、骨形成マーカーの発現が低下しており、RANKLの発現も低下していた。以上より、骨芽細胞においては、Gαsシグナルが骨形成、骨吸収への主要なシグナルと考えられたが、一方でGαqシグナルの骨形成抑制作用も確認した。今後これらの確立したモデルを用いて、Gene chipの手法を利用しGαqシグナルの下流で発現が上昇するあるいは低下する遺伝子の解析を検討中である。
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Research Products
(2 results)