2008 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺ホルモンの骨形成促進作用の分子メカニズムに関する戦略的研究
Project/Area Number |
17390413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 直史 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任助教 (10361495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 俊樹 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (20376479)
鄭 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30345053)
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Keywords | 細胞・組織 / 骨代謝 / 副甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
骨芽細胞特異的にGαqを発現するマウスにおいて骨組織の菲薄化が認められ、Gαqシグナルに骨形成抑制作用があることがこれまでの解析で明らかになった事から、20年度では骨組織特異的にGαqを欠損したマウスの作製を継続して行った。GαqのアイソザイムであるG11遺伝子を欠損し、かつGq遺伝子座にloxP配列を挿入したGαq floxマウス(Gqfl/fI-/-)を作出して、骨組織特異的に発現するコラーゲン1のプロモーターを用いたCOLα1(I)-Creマウスと交配させることで、骨芽細胞特異的Gαq/G11欠損マウス(KO)を作出した。KOマウスは正常に成長し、生理的条件下でのマウスの骨組織でのX線撮影、骨密度の測定、マイクロCTによる3次元微細形態学的検討を行ったところ、骨組織も骨密度も正常マウスと差はなかった。そこで8週齢のマウスに副甲状腺ホルモン(PTH)(1-34)の皮下注射を週5回、4週間行って脛骨、腰椎の骨密度を非投与群と比較したところ、KOマウスでは正常マウスに比べてPTHの骨密度増加効果が増強していた(15%、8%vs.12%、5%;P<0.05}。また、今年度はこのKOマウスの頭蓋骨より骨芽細胞を取り出し、invitroにてPTH間欠投与を行った。するとKO由来の骨芽細胞ではPTHの間欠投与により骨形成促進作用がinvitroでも認められた(骨芽細胞分化マーカーの増加により確認)。その際、KOマウス由来の骨芽細胞では、PTHの下流シグナルの一つであるPKCδの発現上昇がみられ、また膜への移動がWTマウス由来の骨芽細胞より増加していた。これらの検討により、骨芽細胞におけるGαqシグナルは骨形成能を抑制することが示され、その下流にはPKCδが関与していることが明らかとなった。これらのシグナルを抑制することで、PTHの骨同化作用をより促進させることが可能となり、GαqあるいはPKCδの選択的抑制による骨形成促進作への臨床応用が示唆された。
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Research Products
(1 results)