2006 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の中枢神経作用におけるGABA受容体と抑制ニューロンネットワークの役割
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17390425
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西川 光一 群馬大学, 医学部, 講師 (00334110)
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Keywords | GABA受容体 / 抑制ニューロン / GABA合成酵素ノックアウト動物 / 可塑性 / 海馬スライス標本 / シナプス電流 / 鎮静 / 立ち直り反射 |
Research Abstract |
<研究目的>麻酔薬の中枢抑制にはGABA受容体が重要であるが、神経終末からのGABA放出過程の麻酔における役割については議論が多い。研究目的は、GABA合成酵素グルタミン酸デカルボキシラーゼ(glutamate decarboxylase : GAD)の発現を抑えたノックアウトマウス(GAD65KO)を用いて、麻酔における神経終末からのGABAの放出の役割を解明することである。<実験方法>野生型(WT)とGABA65KOにおいて、セボフルラン、静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン)の腹腔内投与後、麻酔に至るまでの時間、麻酔持続時間、回復時間を立ち直り反射(righting reflex)の消失でスコア化して比較した。さらに海馬スライス標本を用いて、興奮性シナプス後電位、集合電位、長期増強現象、抑制シナプス電流を記録し、麻酔薬の存在下での影響を検討した。<結果>GAD65KOにおいてプロポフォール腹腔内投与(100mg/kg)後の麻酔持続時間に有意な短縮が観察されたが(WT:1460秒n=,22、KO:910秒n=16)、ケタミンでの麻酔持続時間には差がなかった(WT:1639秒n=15、KO:1664秒n=10)。GAD65KOは、興奮性シナプス伝達や抑制シナプス伝達のいずれもWTと差はないが、プロポフォールによる抑制の程度に有意差がみられた。<結論>GABA抑制系の作用が著明なプロポフォールにおいて野生型との差があったことから、シナプス後膜GABA受容体への直接的な修飾以外にも、神経終末からのGABA放出過程への作用が中枢抑制に重要であることが判明した。(701字)
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Research Products
(6 results)