2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋細胞のカルシウム動態解析による悪性高熱症発症機序の解明と素因診断
Project/Area Number |
17390428
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
弓削 孟文 広島大学, 医療政策室・理事, 副学長 (40034128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 昌志 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (40127642)
濱田 宏 広島大学, 病院・講師 (10218539)
福田 秀樹 広島大学, 病院・助手 (00294588)
右田 貴子 広島大学, 病院・助手 (90403526)
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Keywords | 悪性高熱症 / 骨格筋細胞 / カルシウムイオン / Ca-induced Ca release |
Research Abstract |
平成18年4月から19年3月までに,悪性高熱症や関連疾患患者およびその血縁者11名でCICR (Ca-induced Ca release)速度の測定を行った。11名すべて冷蔵庫宅配便で摘出骨格筋を当研究しつまで輸送した。内訳は,悪性高熱症劇症型1名、術後悪性高熱症1名,悪性高熱症の家族歴6名,筋疾患2名,高CPK血症1名であった.CICR速度の亢進が認められ、悪性高熱症の素因ありと診断されてものは7名(悪性高熱劇症型1名,悪性高熱症の家族歴5名,高CPK血症1名)であった.11名の摘出骨格筋から衛星細胞の培養に成功したものは10名で、培養の成功率は昨年度の72%から91%に上昇した。この細胞を-70℃で凍結保存した。 凍結細胞を解凍後培養しmyotubesに分化した状態で,ratioの測定を行った.カフェイン,ハロタンおよび4CmC刺激による細胞内のカルシウム動態を,CICR亢進が認められたもの(亢進群)と認められなかったもの(非亢進群)それぞれ9名計18名(昨年度に凍結した細胞を含む)で比較検討した.カフェインのEC50は亢進群2.72±0.88mMで有意差が認められた.ハロタンのEC50は亢進群1.89±0.28mM,非亢進群は3.72±0.76で,4CmCのEC50は亢進群141.2±46.5μM,非亢進群は349.2±76.1μMで,両群間ですめて有意差が認められた.骨格筋のリアノジン受容体の刺激薬であるカフェイン,ハロタンや4CmCにより,CICR速度が亢進している患者から得られたmyotubesでは,カルシウムイオンが低濃度で上昇した. 新しい麻酔薬であるプロポフォールは,臨床使用濃度ではmyotubesのカルシウムイオン濃度の上昇は認められなかった.100μM以上では細胞内のカルシウム濃度の上昇が認められた.プロポフォール1mMはCICR速度を約2倍更新させることを確認した. HEK細胞にRYR1遺伝子を導入して、RYR1の発現に成功した.この細胞ではカフェイン刺激により細胞内のカルシウム濃度の上昇が確認された.RYR1が導入していないHEK細胞ではカフェイン刺激で細胞内のカルシウム濃度の上昇は認められなかった. 悪性高熱症稀な疾患で,一年間で集められる症例は少ないので,ひき続き検討が必要である.
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Research Products
(3 results)