2006 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系の虚血耐性機序の解明とクロストレランスの治療応用
Project/Area Number |
17390429
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂部 武史 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40035225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 美志也 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (60243664)
森本 康裕 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60325230)
水上 洋一 山口大学, 総合科学実験センター, 助教授 (80274158)
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Keywords | 中枢神経 / 虚血 / 虚血耐性 / 耐性誘導 / 高気圧酸素 / 耐性関連因子 |
Research Abstract |
本年度は,これまでのわれわれの研究で明らかとなったHBOによる脳虚血耐性誘導の遺伝子および蛋白解析(Brain Research 1130(2007)214-222)をもとに,以下の検討を加えた. 1)HBOによる虚血耐性誘導に対する蛋白合成阻害薬の影響 HBO(3.5ATA,100%酸素,1日1時間,連続5日間)の条件付けの直前(pre-AM群)もしくは1時間前(pre-1hAM群)にそれぞれアニソマイシン(anisomysin, AM)10mg/kgを生理食塩水1mlに溶解して腹腔内に投与した.対照群(C群)では生理食塩水1mlを腹腔内に投与した.最終のHBO処置より12時間後に両側総頸動脈閉塞+脱血による低血圧(平均血圧50mmHg)による虚血モデルを用い,再潅流7日後の海馬CA1の生存神経細胞数を計測した.C群73±6/mmに対し,それぞれpre-AM群:70±20/mm,pre-1h AM群:3±3(mean±SD)であった.HBOにより誘導される神経保護作用が各HBO処置の直前AM投与では抑制されないが,1時間前のAM投与で有意に抑制されることが明らかとなった.これまでの遺伝子解析の結果に加え,HBOで産生される蛋白が,虚血耐性誘導に関与している可能性が示唆され,現在C群とpre-1h AM群の海馬CA1の組織で,網羅的解析を行っている. 2)HBOによる神経保護の病理組織学的検討 HBOによる神経保護が,どのような機序で発現しているかを病理組織学的に検討するため、膜結合型フラクタルカイン(Fractalkine)(神経細胞に発現するサイトカイン結合蛋白)とマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP-9)(炎症応答のメディエーター)の虚血再潅流時の発現について免疫組織化学染色で検討した.HBO無処置群では虚血再潅流1,2,4時間でFractalkineの発現を認めなかったが,MMP-9は再潅流4時間で発現するとともに,海馬CA1錐体細胞にMMP-9活性を有するグリアの浸潤が観察された.現在,HBO処置群で検討を行っている.
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