2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳内輸送系と脳細胞環境系との相関性を基盤とした補完的脳蘇生法の構築
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17390433
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡邉 泰雄 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (70183720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 将 東京医科大学, 医学部, 助手 (70343522)
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Keywords | GABA_A受容体α4サブユニット / 吸入麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / 麻酔導入 / 麻酔期 / C-fos / 脳保護 / プロポフォール |
Research Abstract |
目的:本研究は各種静脈麻酔薬の薬理効果の相違を脳内GABA_A受容体サブユニットの変動から明らかにすることを主目的とする。そのため、各種静脈麻酔薬の麻酔導入時ならびに麻酔時におけるプロポフォール低感受性のC57BL/6Jマウス脳内各部位におけるGABA_A受容体α4サブユニットm-RNAならびにc-fos様蛋白発現の相違を比較検索した。 方法:1)実験動物は雄性C57BL/6J(体重20-25g)マウスを用いた。2)薬物は吸入麻酔薬としてGOI、静脈麻酔薬として、ミダゾラム、プロポフォール、ペントバルビタールを使用した。3)麻酔効果の判定は正向反射が30秒以上消失した時点を麻酔効果発現とした。4)既報に従って脳内GABA_A受容体α4サブユニットのプライマーを作成し、RT-PCR法を基盤とした定量法にて各脳部位のサブユニットm-RNA発現を検索した。5)脳組織におけるc-fos様蛋白の発現はアビジン-ビオチンシステムで解析を行なった。 結果:脳内GABA_A受容体α4サブユニットm-RNAはGOI麻酔下において、視床、線条体、皮質前頭葉、後頭葉に多く発現し、小脳、延髄、視床下部では低い発現であった。さらに、静脈麻酔薬誘発の麻酔期には、プロポフォール投与群のみ、線条体、中脳および海馬で統計的に有意な発現の増加が認められた。麻酔導入期ではミダゾラム脳全体ペントバルビタールでは線状体、後頭葉に有意な発現の増加が認められた。さらに、C-fos様蛋白の発現も上記部位で明らかに観察された。 考察:本研究成績は、受容体のサブユニットの変動を定量測定した結果、静脈麻酔薬の薬理効果発現における作用点に相違があることを実証したものである。すなわち、脳内GABA_A受容体の中でも線条体、中脳や海馬のα4サブユニットを有するGABA_A受容体がプロポフォールの麻酔効果発現に重要な役割を果たしていることを示唆すると同時に、今後α4サブユニットを有するGABA_A受容体の局在する場所が神経細胞あるいはグリア細胞であるかを明確にすることが焦点となると考える。
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Research Products
(2 results)