2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞培養上清のProterme解析による尿路性器癌腫瘍マーカーの同定
Project/Area Number |
17390439
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 英二郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (90293878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00281098)
西山 博之 京都大学, 医学研究科, 講師 (20324642)
高橋 毅 京都大学, 医学研究科, 助手 (30362487)
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Keywords | 泌尿生殖器癌 / 診断マーカー |
Research Abstract |
腫瘍組織、血清を用いた膀胱癌腫瘍マーカー候補蛋白質の同定 1.まず、Matrigel invasion chamber assayを用いて、6種の膀胱癌細胞株の浸潤能の評価を行い、高浸潤性細胞株としてRT112を、低浸潤性細胞株としてT24を用いることとした。 2.両細胞株の培養上清中蛋白質をショットガンプロテオミクスにて同定した。80%コンフルエント時の細胞を無血清培地で24時間培養し上清を回収し、二液体クロマトグラフィーにて分画処理後、LC-MS/MSにて網羅的に蛋白質を同定した。T24のみで産生され、間質浸潤との相関を認める分泌蛋白の中から、ケモカインの一種であるCXCL1を候補遺伝子として絞り込み、以後の解析の対象とした。 3.In vitroではRT12、T24を含む6種の細胞株において、発現量(ELISA)と浸潤能に正の相関が認められ、手術標本の免疫組織染色において同蛋白質の発現は正常尿路上皮では殆ど認めないが浸潤性膀胱癌で発現が亢進していた。CXCL1を強発現しているT24に中和抗体を加えることで浸潤能が抑制された。一方、発現を認めないRT112にCXCL1遺伝子を導入すると浸潤能が亢進し、さらに中和抗体添加はその亢進した浸潤能を低下させた。マーカーとしての有用性を検討するために尿中CXCL1発現量をELISA法にて測定したところ、コントロール群(6.5±2.5pg/mg creatinine(Average±SEM))に比して膀胱癌患者群(64±14pg/mg creatinine)で有意な発現レベルの亢進を認め、腫瘍間では浸潤癌で発現が亢進していた(T1以上:111±25pg/mg creatinine、Ta:17±3.7pg/mg creatinine)。このようにCXCL1は膀胱癌の浸潤に重要な役割を担っていると考えられ、高浸潤例と低浸潤例の鑑別マーカーとして有用であると考えられた。
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