2005 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮癌に対するサバイビン・ペプチドを用いた癌ワクチン療法の確立
Project/Area Number |
17390441
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
高橋 敦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20274946)
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20295356)
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Keywords | 尿路上皮癌 / 免疫療法 / がん抗原 / サバイビン |
Research Abstract |
1.尿路上皮癌におけるサバイビン発現率の検討 尿路上皮癌手術標本88例をサバイビン免疫染色で検討した結果、88%と高率にサバイビン陽性であった。 2.尿路上皮癌におけるHLA class I発現率の検討 癌細胞表面にHLA class Iが発現していないことには免疫療法の標的となり得ない。そこでHLA class I分子を認識する新規単クローン抗体EMR8-5を樹立し、尿路上皮癌手術標本88例を免疫組織学的に検討した。その結果67%が陽性であった。 3.尿路上皮癌患者におけるサバイビンの抗原性の検討 サバイビンのリコンビナント蛋白を作成し、尿路上皮癌患者の血清抗サバイビン抗体価をELISA法により測定、健常者と比較検討した。尿路上皮癌患者および健常者血清中の抗サバイビン抗体価の中央値はそれぞれ0.69、0.44と前者で有意に高く、健常者の平均値+2SDをカットオフ値とした場合、55%の患者で抗体陽性と判断された。 また尿路上皮癌患者から得られた末梢血リンパ球をテトラマー解析した結果、サバイビンを特異的に認識するCD8陽性Tリンパ球の存在が明らかになった。 (小括) 尿路上皮癌は高率にサバイビンを発現するだけでなく、HLA class Iの発現率も比較的高く、両者をともに発現する腫瘍は全体の約2/3に上った。これらの腫瘍ではサバイビンが癌抗原として提示され、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の標的になり得ると考えられた。一方、患者において抗サバイビン抗体が産生され、サバイビンを特異的に認識するCTLが存在していたことより、サバイビンは癌抗原として患者の免疫系に認識されていることが示唆された。以上よりサバイビンは膀胱癌に対する免疫療法の標的分子となり得ることが証明された。この結果は論文にまとめ、Urology誌に掲載予定である。 4.尿路上皮癌患者に対するサバイビン・ペプチドワクチン療法臨床第I相試験 前記研究成果を基に、臨床第1相試験を開始した。現時点では3例の試験を終えたところであるが、目標症例数12例を終えた段階で成果をまとめ、発表する予定である。
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Research Products
(1 results)