2005 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期の栄養障害に起因する生活習慣病発症機序の総合的研究とその発症予防法の開発
Project/Area Number |
17390450
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐川 典正 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00162321)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (10263005)
田畑 務 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40252358)
伊東 宏晃 京都大学, 医学研究科, 講師 (70263085)
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
益崎 裕章 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291899)
|
Keywords | 妊娠 / 子宮内環境 / 子宮内発育遅延 / レプチン / 生活習慣病 / 高血圧 / 冠動脈周囲線維化 / 高蛋白食 |
Research Abstract |
母獣に30%の摂餌制限を行うことで作成したマウスIUGRモデルを用いて、胎生期の低栄養が出生後の各種生活習慣病発症機序におよぼす影響を検討した。 1.IUGRマウスは出生時には皮下組織におけるleptin, resitin, adiponectin発現は対照群より低値であったが、生後8日目のcatch-up期にはleptin発現のみが有意に高かった。 2.IUGR新生仔では、皮下組織におけるleptin発現を反映する形で、catch-up期に血中レプチン濃度の一過性上昇、いわゆるレプチンサージの早期化(premature leptin surge)が生じていた。 3.IUGR群では生後8週および16週で対照群より有意に高血圧を呈した。この高血圧は、高脂肪食負荷を行うと有意差がみられなくなった。 4.生後16週のIUGR群では心臓血管周囲の線維化が対照群に比して有意に亢進していた。 5.正常マウス新生仔にleptinを皮下注射しレプチンサージを人工的に早期化したところ、成獣期において高脂肪食負荷でIUGR新生仔と同様の肥満を呈した。しかし、このマウスでは、成長後の高血圧や心臓血管周囲線維化の亢進はみられなかった。 6.IUGR群と対照群の間に腎臓の組織学的差異は認めず、腎小動脈周囲線維化も差を認めなかった。 7.血中angiotensin II濃度は両群間で差を認めなかったが、一酸化窒素(NO)代謝物(NOx)濃度はIUGR群で有意に低値を示した。 8.高蛋白食(蛋白質40%)を用いて母獣に摂餌制限を加えた場合は、IUGR群でも生後8週の血圧は対照群と有意差がなく、また生後16週の心臓血管周囲線維化も差がなかった。 以上より、胎生期低栄養に起因する生活習慣病のうち、肥満や耐糖能異常はleptin感受性の低下が関与しているが、高血圧や血管系の病変にはNO代謝などleptin以外の因子が関与していることが示唆された。
|
Research Products
(6 results)