2006 Fiscal Year Annual Research Report
HIV垂直感染における胎盤関門と脱落膜大顆粒リンパ球の役割
Project/Area Number |
17390454
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
早川 智 日本大学, 医学部, 助教授 (30238084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長縄 聡 日本大学, 医学部, 専修研究員 (40445747)
根本 則道 日本大学, 医学部, 教授 (80096875)
北村 勝彦 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30195284)
斉藤 滋 富山大学, 医学部, 教授 (30175351)
山本 直樹 国立感染症研究所, エイズ研究センター, センター長 (00094053)
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Keywords | HIV / 垂直感染 / 胎盤関門 / CD56 / NK細胞 / NKT細胞 / 大顆粒リンパ球 / 歯周病 |
Research Abstract |
HIV陽性妊婦より生まれた児の多くは子宮内でHIVに晒されながら,感染しない典型的な暴露非感染者である.脱落膜・胎盤局所では特異な粘膜免疫系が存在し,HIVの感染を制御していると考えられる.申請者は当初,臍帯血リンパ球はHIV感染に対して抵抗性があるのではないかと考えたが成人と差が見られなかった.そこでこの問題を解決するため(1)脱落膜・胎盤・臍帯血より樹状細胞を分離増殖し,HIV, HIVが感染しながら増殖しない細胞(本研究ではKHYG細胞)処理しCTLあるいはHelper T細胞に対する抗原呈示誘導を観察する.(2)健常者,HIV陽性母より生まれたHIV陰性児,HIV先天感染児の臍帯血を採取しELISPOT assayによるHIV由来ペプチドのepitope mappingでHIV陽性母より生まれたHIV陰性児に特異的なT細胞が認識する抗原を解析することを試みた.(1)については胎盤あるいは脱落膜樹状細胞によるHIV関連抗原の特異な提示は認められず,(2)についても本年度は当該施設においてHIV陽性母の分娩がなく,検討が不可能であったため,ラオス国立大学マホソット病院より検体の提供を受けて検討中である.HIVを有効に複製するNKT細胞株MOTNと,不完全な複製を行うKHYG細胞の遺伝子ならびにタンパク発現プロファイルを網羅的に解析し,約40遺伝子の発現の差を認めた.現在,HIV複製に関る転写因子発現を解析中である.また,HIV陽性妊婦では,しばし歯周病の合併を見ること,歯周病がHIV垂直感染のリスクファクターになることが知られている.申請者らは歯周病の原因菌であるPS. gingivalis, Actinobacillus spがTLR4を介してCD56陽性細胞を活性化し,胎盤を傷害すること,これにより胎盤関門が破壊されHIV垂直感染をおこしやすいことを明らかにした.
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