2008 Fiscal Year Annual Research Report
HIV垂直感染における胎盤関門と脱落膜大顆粒リンパ球の役割
Project/Area Number |
17390454
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
早川 智 Nihon University, 医学部, 教授 (30238084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 滋 富山大学, 医学部, 教授 (30175351)
山本 直樹 日本大学, 国立感染症研究所・エイズ研究センター, センター長 (00094053)
相澤 志保子 日本大学, 医学部, 助手 (30513858)
泉 泰之 日本大学, 医学部, 専修研究員 (50459872)
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Keywords | HIV / 胎盤関門 / TLR / 脱落膜リンパ球 / リザーバー / インフルエンザ / アポトーシス / 垂直感染 |
Research Abstract |
HIVの経胎盤感染をin vitroにおいて再現するため、複数の絨毛癌細胞株,不死化栄養芽細胞を用い、HIV感受性を検討し、インフルエンザウイルスと比較した。その結果、ヒト絨毛癌細胞株JEG-3はHIV感受性であったが、BeWo, JARでは複製が見られなかった。不死化初期栄養芽細胞Sw71, HTR8も感受性が低かった。次に,分化程度による感受性を検討した.未分化なBeWoはHIV非感受性であるが、Forskolinによる分化誘導を受けるとHIVにCD4非依存性に感染し複製することが判明した。分化の過程でCXCR4発現は変化せず、CD4の発現も誘導しないことが判明した.さらに、TLR agonistによる調節を検討するためTLR1-9のアゴニストを添加した. HIVの複製は、TLR-7、8からのシグナルで有意に抑制された。これに対し, trophoblastにおけるinfluenza感染は逆の結果を得た。すなわち不死化初期栄養芽細胞Sw71,HTR8、未分化なBeWoはインフルエンザ感受性であるが、BeWoはForskolinによる分化誘導を受けるとインフルエンザに抵抗性を獲得する。しかし両ウイルスはともにtrophoblastにapoptosisを誘導することが明らかになった。慢性感染症であるHIV感染と急性感染症であるインフルエンザでは胎盤関門は異なった戦略をとっている可能性がある。すなわち、急性感染症であるインフルエンザに対して胎盤は感染抵抗性のsyncytial trophoblastを組織表面に配置し、中和抗体の出現を待つ。一方、中和抗体の期待できないHIV感染症では、syncytiumへの感染を許すがcytotrophoblastへの感染は許さず、アポトーシスよってこれを排除することで胎児を感染から防御する。さらに、初期絨毛細胞に対するHIV感受性は脱落膜リンパ球が産生するケモカインが調節することを明らかにした.HIV垂直感染では,母体の栄養状態や免疫状態に加えHLAハプロタイプやHIVサブタイプにより感染効率に著しい差が生じることが知られている。そのための臨床的解析を心がけたが残念ながら(医師としては幸いなことに)研究期間中に垂直感染を来たした症例は日本では見られず,ラオスとの共同研究を進めている.
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[Journal Article] 【性感染症up to date】【性感染症への対応と治療】 周産期におけるHIV/エイズ, その現状と対策 厚労省研究班の成績をもとに2009
Author(s)
稲葉憲之, 大島教子, 西川正能, 岡崎隆行, 庄田亜紀子, 根岸正実, 林田志峯, 稲葉未知世, 和田裕二喜多恒和, 外川正生, 塚原優己, 名取道也, 牛島廣治, 戸谷良造, 五味淵秀人, 早川智, 尾崎山和, 吉野直人, 田中憲一, 熊曙康
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Journal Title
臨床婦人科産科 63(2)
Pages: 151-155
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[Journal Article] Netpositive charge of HIV-1 CRF01_AE V3 sequence regulates viral sensitivity to humoral immunity.2008
Author(s)
Naganawa S, Yokoyama M, Shii no T, Suzuki T, Ishigatsubo Y, Ueda A, Shirai A, Takeno M, Hayakawa S, Sato S, Tochi kubo 0, Kiyoura S, Sawada K, Ikegami T, Kanda T, Kitamura K, Sato H
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Journal Title
Peer Reviewed
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