2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390460
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福島 邦博 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50284112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸英 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (00423327)
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Keywords | RNA干渉 / siRNA / GJB2 / 難聴 / 内耳性難聴 / 遺伝子治療 / dominant negative / 常染色体優性遺伝 |
Research Abstract |
感音難聴は人口の5%に発生するといわれる頻度の高い疾患であり、音声言語を介したコミュニケーションに支障を来たすことによって患者の生活の質を著しく下げる。現時点までに感音難聴に対する根本的な治療法は現時点で存在しておらず、補聴器や人工内耳など、補装具を効果的に用いることがその医療の中心となっている。このため、現在様々な手法を元に内耳障害に対しての根本的な治療の方法についての研究が進んでいるが、未だ決定的な方法は確立されていない。遺伝子治療は、こうした内耳性難聴に対する有望な治療法として将来における発展が期待されている。実際様々な遺伝子を様々な形で内耳に導入する試みが行われているが、in vivoで、聴力を明確に改善させることにはまだ多くの問題が伴う。 本研究では 1.内耳窓への遺伝子投与によって、内耳には可逆性の変異が生じ、電気生理学的に確認できる難聴が生じた。これは逆に言えば、正円窓経由での遺伝子投与は、内耳機能に直接作用を加えることができる、すなわち内耳性難聴の遺伝子治療は理論的に可能であることを示したものである。 2.Dominant negative変異による進行性難聴は、この変異遺伝子の発現を抑制することによって難聴の発生が阻止できることを示した。つまり、遺伝性難聴の病態によっては、モデルマウスで聴力の改善が可能であった。 という2点が確認できた。こうした知見より、内耳性難聴に対する治療戦略の一つとして、RNA干渉の原理を用いた遺伝子治療は将来的に有望な治療戦略であると考えられる。 RNA干渉を用いて、病的な作用を持つ遺伝子の発現抑制や、生理的(ないしは病理的)に不利益な働きをする遺伝子の発現を抑制することが可能であれば、より生理的に近い形での遺伝子治療の方略を提供することになり、難聴治療薬創薬の一つの手段として応用可能であると考えられる。
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Research Products
(3 results)