2005 Fiscal Year Annual Research Report
難治性神経芽腫のがん幹細胞の分離・同定とそれを標的とした新しい治療法の開発研究
Project/Area Number |
17390473
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中川原 章 千葉県がんセンター(研究所), 研究局, 研究局長 (50117181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹信 尚典 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 研究員 (60392247)
尾崎 俊文 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 上席研究員 (40260252)
大平 美紀 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 研究員 (20311384)
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Keywords | 神経芽腫 / がん幹細胞 / 幹細胞マーカー / nestin / TUJ1 / p53 / p73 / p63 |
Research Abstract |
神経幹細胞に類似した性質をもつとされるI-type神経芽腫細胞株2系統を用いて、我々がこれまでに神経芽腫cDNAプロジェクトにより同定した約200種の新規遺伝子に関し、RT-PCR法を用いてスクリーニングを行った。その結果、4つの遺伝子がI-type特異的に発現していることを見いだした。次に、これらを含む神経堤細胞の幹細胞マーカーと報告されている5種類のマーカー抗体を用いて、約20例の新鮮神経芽種初代培養細胞および6種の神経芽腫細胞株を対象に免疫染色を行った。その結果、神経芽種初代培養細胞は高頻度にneurosphere様の細胞塊を形成し、とくに予後良好な神経芽腫において、代表的な神経幹細胞マーカーであるNestinの発現量が高くなっていた。また、BrdUでパルスラベルしたところ、予後良好な細胞塊においてもBrdU陽性細胞が散見され、その取り込みが遷延しているものがあった。したがって、これらが神経芽腫幹細胞の候補となるものと思われた。一方、TUJ1などの神経分化マーカーはほぼ全ての腫瘍細胞に陽性であった。さらに、シュワン細胞やグリア細胞の分化マーカー(S100β,GFAP)は、ごく一部の細胞で発現が見られたが、両マーカーが共に陽性の間質細胞といずれかが陽性の細胞とが見られ、その由来を考えるうえで重要な知見であった。また、神経幹細胞と関係の深いp73,p63については、p53を含めてMYCNが増幅している症例で発現が高い傾向が見られたが、それぞれのアイソフォームの細胞内局在に顕著な所見が認められ、現在詳細に検討中である。ちなみに、セルソーターを用いてside population画分回収による幹細胞の分離を試みたが、初代培養に使える神経芽腫細胞の絶対数が少なかったために、この方法の施行は実質的に不可能であった。今後、細胞株を用いてこの方法を試みる。
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Research Products
(19 results)