2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常真皮、瘢痕、ケロイドにおける細胞膜リン脂質脂肪酸組成解析〜傷痕ゼロを目指して
Project/Area Number |
17390476
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (80217421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐浦 隆一 神戸大学, 医学部, 助教授 (10252769)
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40224919)
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Keywords | 瘢痕 / ケロイド / 脂肪酸 / 真皮 |
Research Abstract |
将来の瘢痕治療法を確立するための基礎的な研究として、まず、正常真皮、肥厚性瘢痕、真性ケロイドのin vivoとin vitroにおける間葉系細胞(線維芽細胞)の細胞膜リン脂質脂肪酸組成を解析し、膜脂肪酸によるアポトーシスを介したケロイド制御機構の解明、その結果に基づいた新しい治療方法の確立を目指し、究極のscarless wound healingへ向けての突破口を築きたいと考えている。近年、細胞膜の大部分を占める脂質成分が細胞の骨格のみならず、多くの機能を担っていることが明らかになってきた。特に、必須脂肪酸(リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、DHA、EPAなど)は、正常細胞の増殖や様々な機能維持に関与することが報告されている。また、アラキドン酸やその直接代謝産物であるプロスタグランジンやロイコトルエンは、正常細胞のみでなく各種悪性腫瘍の増殖や機能にも関与し、細胞膜を介する反応であるPKC活性に影響を及ぼし、かつ、細胞のアポトーシスをも規制し、腫瘍の増殖に重要な働きを持っている。従って、細胞膜脂肪酸は流動モザイクモデル理論により常に変動しながら細胞膜機能に寄与しており、その主要構成成分である脂肪酸の一つ一つが様々な機能を担っていると考えられる。 手術時に得られた正常真皮、肥厚性瘢痕およびこれらから得られた線維芽細胞をサンプルとした。線維芽細胞は、10%FCS含有DMEM培地で継代培養した。これらをFolch抽出法で脂肪酸成分を取り出し、細胞膜脂肪酸を解析するための薄層クロマトグラフィーに供する群と全組織内脂肪酸を解析する群に分けて、それぞれについてガスクロマトグラフィーで脂肪酸の解析を行った。脂肪酸は代表的な23種類について検討した。これまでの結果、ステアリン酸およびアラキドン酸の割合が正常真皮より肥厚性瘢痕において有意に高かった。また、線維芽細胞はその由来にかかわらず10%FCSと脂肪酸組成がほぼ同じであった。また、慶應義塾大学から、scarless wound healingを示す胎仔マウスの皮膚のサンプリングの送付が終了し、同様の方法による脂肪酸解析を施行する準備が整った。
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Research Products
(5 results)