2006 Fiscal Year Annual Research Report
DMP1遺伝子の転写調節領域を利用した遺伝子導入マウスの作製と骨細胞の機能解明
Project/Area Number |
17390484
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊澤 悟 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30243249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小守 壽文 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00252677)
中野 貴由 大阪大学, 工学研究科, 助教授 (30243182)
新谷 誠康 大阪大学, 歯学研究科, 助教授 (90273698)
佐伯 万騎男 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (30273692)
本間 志保 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40372627)
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Keywords | 骨細胞 / DMP1 / シス作用性転写調節領域 / 遺伝子導入マウス / 石灰化 / 骨の維持 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
骨は体の支持組織であると共に、カルシウムの貯蔵庫として生体のホメオスターシスに重要な役割を果たしている。骨の中には至る所に骨細胞が存在し、その数は1mm^3当たり2万5千個にものぼり、骨表面で骨基質を産生する骨芽細胞数の10倍にも相当する。さらに、骨細胞はその突起を介して骨細胞同士および骨芽細胞と細胞間ネットワークを形成し、骨にとって重要な役割を持つ細胞である。従来の研究からは、骨細胞は骨細胞性骨溶解による血中ミネラルの調整、物理的負荷のメカニカルセンサーとしての働きなどの機能が推察されている。 我々は、骨の非コラーゲン性基質であるdentin matrix protein 1(DMP1)の遺伝子発現が骨細胞に特異的である事を明らかにし、DMP1遺伝子が骨細胞に特異的に発現するという情報に基づいて、骨細胞に特異的に遺伝子を発現させるDMP1遺伝子のシス作用性転写調節領域を設定している。すなわち、DMP1遺伝子上流を含む約12kbpのDNA遺伝子断片クローンより、このDNA領域を制限酵素で切り出し、その各々をクローン化した。次に転写調節領域+GFPレポーターの融合遺伝子コンストラクトを3種類作製した。これらのGFPレポーターをつないだコンストラクトをマウス受精卵への注入し、骨細胞に特異的に発現するシス作用性転写調節領域の同定を行った。 また、最近、DMP1遺伝子がホモで欠失した遺伝性骨軟化症のヒト疾患があることが論文報告された。本疾患に相当するマウスのモデルであるDMP1-ノックアウト(KO)マウスでは,血清中のFGF-23濃度が上昇し、尿リン排泄量が増加して低リン血症が引き起こされ、骨軟化症が起こると報告された。本論文では,DMP1をノックアウトされた骨細胞はFGF-23を高率に発現すると報告している。従って、我々の作製したDMP1を過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスでは、FGF-23濃度が上昇し、尿リン排泄量が低下して高リン血症傾向になると考えられるため確認したが、我々のDMP1-TgマウスではFGF-23濃度の上昇も、尿リン排泄量の低下も起こらないことが判明した。この結果は、論文報告されたDMP1をノックアウトされた骨細胞はFGF-23を高率に発現する現象とは矛盾するため、我々は骨芽細胞の培養系を用いて、DMP1発現をRNAiによりノックダウンさせ、FGF-23の発現の変化を検討した。
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Research Products
(5 results)