2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルムのゲノム解析による歯周疾患発症機構の解明
Project/Area Number |
17390485
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 重忠 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (50273694)
中川 一路 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70294113)
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Keywords | P.gingivalis / 線毛 / vesicle / S.mutans / 糖鎖 |
Research Abstract |
口腔バイオフィルムのゲノム解析の基盤となる口腔内レンサ球菌のゲノム多型性の解明および mobile genomic element解明するための全ゲノム解析を行った.また、歯周病変から高頻度で分離されるII型線毛遺伝子を保持するP. gingivalisの上皮細胞に対する影響について解析を行った. (1)口腔レンサ球菌のゲノム多型性についての解析 口腔バイオフィルムを形成するレンサ球菌の代表的な菌としてう蝕病原性細菌であるStreptococcus mutansについて、従来の血清型には分類されないk型を分離した.このk型の菌株では菌体表層の糖鎖合成酵素に異常があり、現在までに報告されている血清型には分類されず、また血清型kを示す菌株の系統学的おおび進化的な情報は得られていない.そこで、S. mutansで報告されているc, e, f, k型の臨床分離株102株について、8種類のハウスキーピング遺伝子についてmultilocus sequence typing(MLST)を行いS. mutansの系統解析を行った.その結果、S. mutansの血清型e, fおよびk型は、MLST解析では明確なクラスターを形成し、血清型cをからそれぞれ派生したことが明らかとなった.S. mutansに関しては、日本で分離された血清型cのNN2025株について全ゲノム解析を行った.NN2025は全長200,791bpからなり、既に報告されているUA159株とほぼ同様のゲノムサイズを示した.しかし、NN2025株では多数の接合伝達によって得られたと考えられる他菌種由来の外来性遺伝子を獲得し、さらに分裂開始点から均等な位置に存在するリボソーマルオペロンでゲノム構造がレプリコア間で入れ替わっており、ゲノム構造が大きく入れ替わっていることが明らかとなった (2)P. gingivalisの病原性の解析 II型線毛遺伝子を保持するP. gingivalisの病原性についての解析を行ったところ、P. gingivalisは宿主細胞と結合組織との結合を阻害することにより、上皮組織の修復過程を阻害することになった.さらに、この阻害は、細胞内に侵入した菌が、細胞内でインテグリンに結合するFocal adhesion kinaseなどのタンパク質を特異的に分解することにより組織修復を遅延させることが明らかとなった.
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Research Products
(4 results)