2006 Fiscal Year Annual Research Report
TLRシグナル伝達に関するサイトカインシグナル抑制因子(SOCS)の分子制御機構
Project/Area Number |
17390488
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
花澤 重正 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60060258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 登 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00230368)
舛広 善和 日本大学, 大学院・総合科学研究科, 講師 (00336083)
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Keywords | TLR / サイトカイン / 抑制因子 / 相互作用因子 / 制御機構 |
Research Abstract |
私達はヒト骨格筋cDNAライブラリーよりヒトSOCS-3の相互作用因子を酵母-Two hybrid system法を用いてスクリーニングしたところ、細胞周期制御転写因子であるDP-1が高い頻度で検知された。最近、TLRシグナルを介する線維芽細胞の分裂促進作用が報告されている。この知見を考慮すると、SOC-3がその転写因子DP-1を介してTLRシグナルによる細胞分裂促進作用の抑制制御因子として関与していることを示唆することから、本年度はSOCS-3とDP-1のより詳細な相互作用の分子機構を解析し、TLRシグナルに関する新らたなSOCS-3の制御機構について検討した。その結果、以下のような知見を得た。 1.SOCS-3のDP-1相互作用領域を決定するため、SOCS-3の欠損変異蛋白質を調製しPull-down法と調べた。その結果、SOCS-3のN-末端側から156-172番目の領域がDP-1の相互作用領域であることを明らかにした。 2.DP-1の相互作用領域をより明確にするため、HEK293細胞にSTAT-3-luciferace reporterプラスミド、SOCS-3欠損変異体発現ベクター、さらにDP-1発現ベクターを導入し、LIF刺激によるSTAT-3の転写活性について調べた。その結果、LIFE-STAT3転写活性に関するSOCS-3の抑制活性はDP-1発現ベクターによりほぼ完全に消去された。しかしながら、SOCS-3変異体(Δ156-172)導入細胞ではDP-1発現ベクターによる有意の消去作用は認められなかった。 3.一方、DP-1のcycline Eの転写活性に及ぼすSOCS-3の作用を検討した。すなわち、HEK293細胞にcycline E-luciferace reporterプラスミド、SOCS-3欠損変異体発現ベクターを導入し、血清存在下のcycline E転写活性について調べた。その結果、野生型SOCS-3はそのcycline E転写活性を著明に抑制したが、SOCS-3変異体(Δ156-172)導入細胞ではそのような抑制作用は検知できなかった。 4.さらに、HEK293細胞にGFP-DP-1発現ベクターとmys-SOCS3発現ベクターを導入し、cytoflowメーターによる細胞周期と細胞増殖について検討した。SOCS-3はDP-1による細胞周期と細胞増殖の促進作用を有意に抑制した。 以上の結果から、SOCS-3が細胞周期制御転写因子であるDP-1と相互作用し、細胞周期の新たな制御因子として機能していることを示した。この知見は、SOCS-3がTLRシグナルによる細胞周期を制御するという興味ある新たな制御機構を示唆するものである。
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Research Products
(3 results)