2006 Fiscal Year Annual Research Report
味の認知から情動性、嗜好性および食行動発現に至る脳機構に関する神経科学的研究
Project/Area Number |
17390494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60028793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 剛 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (80150332)
乾 賢 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (40324735)
脇坂 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (40158598)
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
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Keywords | 味覚 / 情動 / 嗜好 / 食行動 / 神経科学 |
Research Abstract |
味の質や強さを認知したあとでは、快(おいしい)・不快(まずい)の情動性の反応を伴う。そして、食べ物に対する嗜好性(好き・嫌い)が形成され、食行動にも大きな影響を及ぼす。本研究は、味覚に基づくこれらの現象に脳のいかなる部位で、どのような処理様式で、いかなる脳内物質が関与するのかを明らかにすることを目標にしている。 1)味覚嫌悪学習(CTA):ラットを用い、蔗糖にCTAを獲得させたあと、および電気ショック回避学習(PAL)を獲得させたあとのc-fos発現を視床を中心に詳細に検討した。共に嫌悪(恐怖)学習であるにもかかわらず、室傍核はCTAにより前方背側核はPALにより活性化されることがわかった。 2)脳内物質:ラットの側坐核にカンナビノイド受容体のagonistを投与すると、サッカリンの摂取量は増大するがキニーネのそれは変化がない。サッカリンそのものの摂取量はantagonist投与で減少した。これらの結果から、カンナビノイド受容体はおいしさの発現に重要な役割を演じることが示唆される。 3)脳機能イメージング:ヒトの大脳皮質味覚野の活動を脳磁図法で分析したところ、ミラクルフルーツ作用後のクエン酸応答は糖の応答と酷似していた。すなわち、甘味情報のみが大脳皮質に到達することがわかった。 4)脳内報酬系:味覚嫌悪条件づけを獲得させたラットの腹側淡蒼球にオピオイドagonistのDAMGOを投与すると嫌悪行動が減弱した。また同部においてGABA放出量が増大していることがマイクロダイアリシス法により確認された。
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Research Products
(6 results)