2006 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質接着材成分のストレス蛋白遺伝子の転写への影響
Project/Area Number |
17390505
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 守 北海道大学, 大学病院, 講師 (10301889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 英彦 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90205998)
中沖 靖子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50302881)
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Keywords | コンポジットレジン / HEMA / TEGDMA / HSP / HSE / グルタチオン / NF-kB |
Research Abstract |
コンポジットレジンの成分による細胞内代謝への影響を以下の方法により検討した。 1)申請者らは、モノマー成分で溶出することが多く報告されている 2-hydroxyethylmethacrylate (HEMA)ならびにtriethylene glycidylmethacrylate(TEGDMA)が細胞のストレス蛋白の誘導を阻害することをプロテインレベルで報告した。これらのモノマーがストレス蛋白の誘導経路の阻害機構を検討するために、gene reporter assayで評価した。ヒト単球細胞THP-1にストレス蛋白(HSP72)のプロモーター遺伝子HSEを含むgene reporterをトランスフェクションし、HEMAあるいはTEGDMAで刺激し、核内でのHSE転写への影響を調べた。その結果、 HEMAは濃度依存的にHSE転写阻害を認め、TEGDMAはHSE転写に影響を認めなかった。HEMAとTEGDMAは異なった機構でのストレス蛋白の誘導阻害が示唆された。 2)光重合型コンポジットレジンの重合時生じるラジカルが、細胞のストレス応答に重要な役割を果たしているグルタチオン濃度および核内でのNF-kB転写に及ぼす影響について検討した。ラジカル発生成分用いられているcamphorquinine(CQ)ならびにdimethyl-p-toluidine(DMPT)を毒性を示さない濃度でTHP-1培養液に添加し、光照射を行いラジカルを発生させ、グルタチオン濃度ならびにNF-kBの転写活性を測定した。その結果、 CQおよびDMPT単独で添加したラジカルが発生しない条件下ではグルタチオンの濃度に変化は認めなかったが、両者を添加し光照射してラジカルが発生するとグルタチオン濃度が50%低下した。NF-kBの転写活性ははCQあるいはDMPTが添加されると30%減少を認めた。 以上の実験より、光重合型コンポジットレジンの成分は細胞の代謝を維持するのに重要なストレス応答機構に阻害的に作用することが示された。これらの機構をさらに詳細に検討することで生態適合性の優れた有機材料として改良することが可能であると思われる。
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Research Products
(1 results)