2005 Fiscal Year Annual Research Report
Gap-junctionを介した象牙芽細胞複合体の電気的・化学的細胞間連絡の解析
Project/Area Number |
17390506
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 英治 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20222896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 英明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00114760)
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Keywords | 象牙芽細胞 / 象牙細管 / gap-junction / whole cell patch clamp法 / 電気的カップリング / electrical conductance / 歯髄細胞 / 成長・発育 |
Research Abstract |
ヒト新鮮単離象牙芽細胞にdual patch clamp法を応用して、以下の研究業績をえた。 1.象牙芽細胞の成長・成熟に伴う変化 <方法> 若い象牙芽細胞(13-15Y)と成熟した象牙芽細胞(23-35Y)を抜歯直後のヒト永久歯から新鮮単離した。 <結果> (1)成熟象牙芽細胞の方が単極性細胞突起の長さが統計学的に有意に短かった。 (2)成熟象牙芽細胞間の方がelectrical conductanceが統計学的に有意に小さかった。 (3)若い象牙芽細胞の電気カップリングした2個の細胞間には、電位固定が不可能なこともしばしばみられた。 <考察> (1)若い象牙芽細胞刺激感受性が高く、検知した刺激情報の伝達能が高いことが示唆された。この事実から、若い象牙芽細胞は細胞間連絡能が高く、まるで電気的巨大細胞であるかのように働く。すなわち、functional syncitiumを形成していることがわかった。 2.象牙芽細胞層の電気的結合 <方法> 熟成した象牙芽細胞(24-29Y)を抜歯直後のヒト永久歯から新鮮単離した。 <結果> (1)同一細胞集団(cluster)中の細胞数が増すにしたがって、1細胞内への電気注入によって生じた細胞電位の変化の戻り時間(時定数)が増す傾向が見られた。 (2)電流を結合している一方の細胞に注入し、他方の細胞からも電位変化を記録すると、象牙芽細胞-象牙芽細胞間の電位変化は方向依存性がなくsymmetricで、それに対して、象牙芽細胞-下層細胞間ではasymmetricであることがわかった。 <考察> (1)電気容量の上では象牙芽細胞は巨大細胞であるかのように働いている、すなわち、functional syncitiumを形成していることがわかった。この電気的結合は、象牙芽細胞にとどまらず、その下層細胞にも及んでおり、長い象牙芽細胞突起で感知された情報は、電気的・化学的にgap junctionを介して隣接する象牙芽細胞や下層細胞に波及することがわかった。
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Research Products
(6 results)