2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17390535
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古郷 幹彦 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20205371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 征二 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40283791)
小泉 英彦 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (10324790)
|
Keywords | 咀嚼運動 / 嚥下運動 / 呼吸 / 三叉神経 / 頭部 / 口 / 顎 / 力学 |
Research Abstract |
NMDA(N-methyl-D-aspartate)は、興奮性神経伝達物質の中で、最も重要なものの一つである。これは嚥下の誘発に関与し、また同時に咀嚼の抑制に関与していると報告されている。三叉神経系ネットワークの中で、三叉神経中脳路核ニューロンは、一次感覚神経細胞として神経シグナルを遠心性に伝達しており、この神経細胞は、脱分極によりリズミカルな神経活動を誘発し、この活動には、神経細胞に流れるナトリウム電流が非常に重要な働きをしていることが近年報告されている。 本実験では、SD系ラットを用い、脳幹スライスを作成し、三叉神経中脳路核ニューロンより電気生理学的特性をパッチクランプ法にて記録した。 7日目以降の50-80%の三叉神経中脳路角ニューロンは平均90Hzの連続発火を示すが、実験溶液中に50μMのNMDAを投与することにより、静止膜電位が3.4±0.6mV上昇し、同脱分極刺激による自発的神経活動の誘発は消失した。この現象は検討したすべての三叉神経中脳路核ニューロンに認められた(n=9/9)。さらに膜電位の振幅についての検討を行ったところ、膜電位の振幅とpower(mV^2/Hz)の変化においては、振幅に変化は認めず、power値が減少していることが認められた。 次に、NMDA投与によるナトリウム電流(persistent sodium currentとresurgent sodium current)の変化を検討した。NMDA投与の前後における電流の大きさを比較するとpersistent sodium currentは投与前と投与後を比較したところ42.4%減少を認め(n=8)、resurgent sodium currentは、投与前から投与後にかけて23.3%減少していることを認めた(n=10)。 今回の研究にて、NMDA投与にて、リズミカルなバーストを示す三叉神経中脳路核ニューロンの神経活動誘発が抑制されることが認められ、またナトリウム電流の流入も減少することが認められた。
|