2005 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン反応に対する静脈麻酔薬の修飾メカニズムの解明と炎症反応への影響
Project/Area Number |
17390537
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮脇 卓也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00219825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 茂 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50253000)
櫻井 学 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50225843)
一戸 達也 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40184626)
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Keywords | 歯学 / 薬理学 / サイトカイン / 炎症 / 麻酔薬 |
Research Abstract |
本研究は、静脈麻酔薬であるミダゾラムのサイトカイン反応への作用機序を解明し、炎症反応への影響を調べることが目的である。まず、本年度は、健康成人ボランティアの末梢血単核球(PBMCs)を用いたin vitro実験で、ミダゾラムのサイトカイン(IL-6)産生への作用に対して、cyclooxygenase(COX)阻害薬またはその関連試薬を併用することによる影響を調べた。その結果、non-selective COX inhibitorであるindomethacinおよびCOX-2 selective inhibitorであるNS-398は、ミダゾラムの作用を抑制したが、COX-1 selective inhibitorであるSC-560は影響しなかった。さらに、peroxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)のアンタゴニストであるGW9662、細胞内シグナルトランスダクション中の、サイトカイン遺伝子発現を誘導するnuclear factor κB(NFκB)の阻害薬であるCell-Parmeable Inhibitor Peptide(SN50)はミダゾラムの作用を抑制した。一方、ミダゾラムはプロスタグランジン(PGE2、PGD2、PGF2)の産生には影響を及ぼさなかったが、PGD2の代謝産物でありPPARγの内因性アゴニストである15dPGJ2濃度は上昇していた。以上の結果より、ミダゾラムはCOX-2-PPARγ-NFκB経路のPPARγ付近に作用して、サイトカイン反応に影響を及ぼすことが示唆された。今後、炎症関連遺伝子および細胞内シグナルトランスダクション遺伝子発現量を定量評価することによって、ミダゾラムの作用機序をさらに解明していき、また、動物を用いたin vivo実験で、炎症反応に対する影響についても検討する。
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