2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌に対する個別化制限増殖型遺伝子治療法を目指した基礎的研究とその応用
Project/Area Number |
17390548
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大関 悟 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80117077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 顕之 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (70333242)
内田 竜司 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (00369042)
橋本 憲一郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助手
岡村 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (00224056)
清島 保 九州大学, 大学院歯学研究院, 助手 (20264054)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 標的分子 / S100蛋白 / SCCA / 個別化治療法 |
Research Abstract |
S100A7は皮膚や食道の扁平上皮癌での特異的発現や癌形質への関与が報告されてきた。しかし、扁平上皮癌に関する報告はなく、この発現調節機構解析を目的とした。ルシフェラーゼレポーターアッセイにて、口腔扁平上皮癌由来細胞株でのみ、約1.25kbと約1.5kbのS100A7プロモーター上流域をもつベクターに高い転写活性を認めた。-1248/-1110、-1109/-988、-1248/-988の領域を各々欠失させたベクターでは遺伝子発現活性減少を認めた。また、-1513/-1249、-1248/-1110、-1109/-988領域を組み込んだベクターでは遺伝子発現活性上昇を認めた。ビオチン標識プローブ(-1248/-1110)を用いたゲルシフトアッセイでは、扁平上皮癌細胞株では特有のDNA-核蛋白複合体が観察された。以上より、口腔扁平上皮癌におけるS1OOA7転写活性上昇には、遺伝子上流約-1.0〜-1.5kbに存在する転写制御部位が関与することが示唆された。また、-1248〜-1110の領域に結合し得る数種の核蛋白が検出され、口腔扁平上皮癌には特有なDNA-核蛋白複合体が観察され、今後追求予定である。 SCCAは扁平上皮癌特異的腫瘍マーカーとして使用されている。マーカーのみでなく、腫瘍形成に直接的な影響を及ぼすとされ、抗癌剤、放射線などの細胞死誘導に対して抵抗性を示すことなどが報告されている。ただし、腫瘍形質への影響、発現調節機構などは詳細に解明されていない。そこで、発現機構解明を前提としたSCCAの腫瘍形質への影響を検索した。アンチセンス法にて恒常的にSCCAの発現を抑制させた細胞株を樹立した。今後、細胞形態、増殖能、浸潤能など腫瘍形質獲得の観察し、また、サイトカインや抗癌剤を用いた細胞の反応、アポトーシス誘導抵抗性などを検討し、機能解析を図る予定である。
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