2005 Fiscal Year Annual Research Report
母体脳標的遺伝子導入による胎生期・吸啜期の母仔間相互作用の解析
Project/Area Number |
17390555
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小口 春久 日本歯科大学, 歯学部, 客員教授 (30124689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 哲夫 北海道大学, 北海道大学病院, 助教授 (00187527)
三留 雅人 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (50261318)
中村 渉 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (60372257)
長谷川 智一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50274668)
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Keywords | 母性行動 / siRNA / electroporation / 遺伝子導入 / GFP蛋白 / NeuN陽性細胞 / GFAP陽性細胞 / エストロゲンα受容体 |
Research Abstract |
平成17年度は、母性行動に深く関わっている脳内ホルモンの受容体について、受容体遺伝子に対するsiRNAをelectroporation法により動物の脳内に導入することでターゲット遺伝子の発現抑制が可能かどうかについて検討した。 最初に生後10〜12週齢の雌ラットを用い、ネンブタール麻酔下でelectroporation法を用いて視床下部への遺伝子導入を行い、至適導入量とそのための実験パラメータを決定するための予備実験を行った。遺伝子導入装置CUY21EDITを用いてpCAGGS-GFPベクターを両側視索前野に導入し、手術後4〜7日目に脳切片を作成して正立顕微鏡下でGFP蛋白の蛍光を観察したところ、電極近傍(約500μmの範囲)に強い蛍光シグナルを確認できた。その結果を基にelectroporationのための電極間距離、導入時電圧、電流を決定した。導入後どのくらいの期間遺伝子発現が持続するかを、遺伝子導入から断頭までの期間を4日から2か月の間で段階的に設定して検討したところ、遺伝子導入から約1か月間は蛍光シグナルを検出可能であった。導入された細胞のタイプを同定するため、遺伝子導入脳についてNeuNあるいはGFAPについての染色を行ったところ、GFPシグナルはNeuN陽性あるいはGFAP陽性のいずれの細胞でも検出できた。したがってpCAGGS-GFPベクターをelectroporation法で脳内導入した場合には、少なくとも神経細胞、グリア細胞については導入が可能であることが明らかになった。続いてエストロゲンα受容体に対するsiRNAを3種類作製し、同様の実験パラメータでelectroporation法を用いて両側視索前野に導入した。エストロゲンα受容体の抗体を用いて遺伝子導入脳に関して手術後4日目に断頭、免疫染色を行ったところ、いずれのsiRNAでも導入部位でのエストロゲンα受容体発現の抑制が認められた。現在、抑制効率を調べるためウエスタンブロッティング法による定量測定を行うとともに、母性行動観察用の実験装置を用いてテスト実験を実施中である。
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