2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペリオドンタルメディシンの機序解明-歯周感染に対する肝細胞応答を中心に
Project/Area Number |
17390562
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 英紀 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博史 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00274001)
岩本 義博 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80362979)
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Keywords | 歯周病 / 虚血性心疾患 / 高感度CRP / アディポサイトカイン / IL-6 / TNF-α / マクロファージー / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
歯周病が、軽微な慢性炎症として動脈硬化の増悪因子として働く可能性が指摘されている。歯周感染は虚血性心疾患の予知因子である高感度CRP値を上昇させる。しかしながら局所の感染症である歯周病が如何なる機序で肝細胞が産生するCRPを上昇させるのかについては不明な点が多い。そこで、細菌LPSがマクロファージを活性化し、さらに脂肪細胞からの炎症性サイトカイン産生を促進するとの仮説を立て、マクロファージ・脂肪細胞共培養系を確立し、その系にLPSを作用させた場合のアディポサイトカイン産生性を検討した。マウスマクロファージ由来細胞株RAW264.7とマウス由来前駆脂肪細胞株3T3-L1を使用し、3T3-L1を通法に従って分化誘導させた。分化3T3-L1およびRAW264.7を、トランズウェルシステムで共培養し、両細胞をE.coli LPSで刺激した。それぞれの細胞を単独で培養したものも同様にLPSで刺激した。培養上清中のIL-6,TNF-α量を測定した。また、抗TNF-α中和抗体がIL-6産生性に及ぼす影響も調べた。3T3-L1とRAWの共培養系にLPSを添加することで、培地中のIL-6濃度が相乗的に増加した。IL-6はLPS刺激のみの脂肪細胞からも産生されたことから、主な産生細胞は脂肪細胞と考えられた。TNF-αについては、共培養することによる大きな変化は見られず、LPS刺激でRAW細胞からの産生が亢進したことから主な産生細胞はマクロファージと考えられた。抗TNF-α中和抗体の添加でIL-6産生が部分的に抑制された。LPSに代表される感染抗原に晒されたマクロファージがTNF-α等の液性因子を介して脂肪細胞を活性化し、脂肪細胞からのIL-6産生を促進することが示された。これにより産生されたIL-6は門脈を介して肝臓に集積し、肝細胞からのCRP産生に関与することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)