2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型を用いた法歯学的個人識別検査法の適用範囲の拡大と検査法の転換
Project/Area Number |
17390567
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
水口 清 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00133380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 洋一 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (30180912)
丸山 澄 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (30366190)
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Keywords | ミトコンドリアDNA多型 / mtDNA haplogroup / Y染色体多型 / Y-STR多型 / Y binary haplogroup / 地理的由来 / 変性DNA / SNP検査 |
Research Abstract |
291人の日本人についてmtDNAのcontrol領域の全配列および系統特徴を示すcoding領域の変異を検索し系統分類を行った結果、新たなG2b系統を見い出し、M11系統と共に全ゲノムの配列を決定した。その中で211例については一部に修正を加え、ほぼ全ゲノムの情報に近いデータから日本人を105系統に分類した。またマレー人については血縁関係のない男性81人について、controlおよびcoding領域の情報からそれぞれの系統を決定し、東アジアに拡がるM7b2b, M7c1c, G2a1c, D4a, D4e1, N9a1, Y2, B4a, B4c1b1, B4c, B5a, F1a1が49.4%、南アジアに存在するE, R8, R*, R9b, M*, N*が48.1%(39例)を占めることを明らかにした。全mtDNAゲノムデータの情報から日本人と近縁集団との比較を行ったところ、特に日本人と中国人は多くの系統を共有するが、最も末端の系統においてそれぞれに特有な系統を形成していると考えられた。またY染色体多型については、すでに16種類のSTR検査を終了している256人の日本人についてDYS448、DYS456、DYS458、DYS635Y、GATA H4の5座位のY-STR検査を追加し、21座位のデータで比較したところ、haplotype diversityは99.4%と算出され、きわめて個人識別能力が高いことが示された。また新たに加えた一部の座位はbinary haplogroupの推測にも役立つことが明らかとなった。実際に推測したbinary haplogroupデータとの比較により、日本の中でもbinary haplogroupのgenetic clineが存在することが明らかとなり、法医学上の1人の対象者の地理的由来の推定にも役立つことを示した。本研究のもう1つの目的である変性資料を対象にした、SNP検査への転換の必要性を表す事例として、高度に変性した遺体からのmtDNAおよびABO遺伝子座位の検査による個人識別事例を報告し、正確なミトコンドリアDNAデータが他の遺伝子座位の検査の信頼度を検討するための有用な情報であることを示した。
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Research Products
(5 results)