2006 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆症高齢者とその介護者に対するグループケアを活用した相互支援プログラムの開発
Project/Area Number |
17390592
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
水谷 信子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20167662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 美保 兵庫県立大学, 看護学部, 助手 (10347536)
川口 幸絵 兵庫県立大学, 看護学部, 助手 (50405370)
久米 真代 兵庫県立大学, 看護学部, 助手 (70438266)
松岡 千代 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (80321256)
高山 成子 県立広島大学, 保健福祉学部看護学科, 教授 (30163322)
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Keywords | 認知症 / 相互支援プログラム / アクティビティケア / 介護教室 / 認知症介護 |
Research Abstract |
本年度は、地域で在宅生活をおくる認知症高齢者6名(平均年齢81.3歳、MMSE平均20.3点)とその介護家族6名(平均年齢69.3才)に対し、グループケアを活用した相互支援プログラム^<注1>を作成・実施した。 <注1>相互支援プログラムとは、認知症高齢者6名を1グループとしたアクティビティケア(回想、ゲーム、手工芸など)の実践と並行して、その介護家族6名をグループ形成した介護教室(認知症について、介護についてなど)を実践し、双方にどのような効果が得られ、相互理解につながっていくかを検討するものである。その頻度は2回/週、計6回であり、プログラム終了1ヵ月後に「まとめ会」として再び認知症高齢者へのアクティビティケアと、介護家族に対する意見交換会を実施し、相互支援プログラムの日常生活に対する効果を評価するものである。 その結果、アクティビティケアの実施結果については、平林ら(2003)が報告したように、プログラムを通して認知症高齢者が自己を振り返り、情動を高揚させつつ他者と楽しみながら、互いの力を補っている様子が再確認できた。また、新たな知見としては、介護家族と一緒に参加したセッションにおいて、自宅とは異なる柔和な応対を家族に示し、その協力を素直に受け入れるなど、双方が病前の関係性を再形成している様子が明らかとなった。このことは、「認知症で変わってしまった」と、関わることをあきらめていた介護家族が、驚きと共に、在宅生活を有意義に継続させる意味や可能性を見出すきっかけとなった。 一方、介護教育の実施結果としては、認知症介護に対する幅広い知識情報を得ても、現状にない情報は印象に残らず、認知症早期段階における予防的な関わりの意味は理解し難い様子が改めて検出された。しかし、プログラムを介護家族グループで受けたことで、地域の医療機関や介護機関、施設の情報交換が進み、自分達に見合う介護方法を考える基盤づくりに貢献できたことが明らかとなった。
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