2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国内陸地域の砂漢化(荒漢化)に関する地理学的研究
Project/Area Number |
17401003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
境田 清隆 東北大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (10133927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小金沢 孝昭 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70153517)
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
西城 潔 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (00241513)
大月 義徳 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (00272013)
関根 良平 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (90333781)
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Keywords | 砂漠化 / 内モンゴル自治区 / 気候変動 / 水収支 / 土壌侵蝕 / 退耕還林 / 生態移民 / 温暖化 |
Research Abstract |
2年目の平成18年度も、各研究者が現地調査を順調に実施した。8月下旬には大月が研究補助者の協力を得て詳細な測量による土壌侵蝕の調査を行なった。境田はやはり研究補助者の協力を得て気象観測データを回収し、新たに地温と土壌水分計の設置を行なった。平吹もまた研究補助者を伴って四子王旗の植生調査を実施した。9月下旬には関根が四子王旗の牧民の聴取調査を実施した。小金澤はモンゴル国ウランバートルで砂漠化の集落立地に及ぼす影響を調査した。境田は8月25日にフフホトで開催された「蒙古高原及びその周辺地域の環境資源と持続的発展」の国際シンポジウムに参加、口頭発表し座長を務めた。またこの会議で知り合った現地研究者から砂嵐発現回数データを取得した。2月には内モンゴルから共同研究者を1名招聘し、リモートセンシングによる砂漠化の把握の問題点について意見交換した。 本年度の成果を纏めると、武川県の土壌侵蝕が最近(2003年以降)においても年間1m近い速度で進行していることが明らかになった。しかしその年々変動はかなり大きいので気象観測データとの比較検討が重要である。人文地理学の聴取調査では牧民を草地から切り離す「生態移民」が推進され、観光地化や乳牛への転換など砂漠化の影響が多様化し、かつ複雑化している実態が明らかになった。「生態移民」は境田と小金澤が別の機会に訪れた内モンゴル西部地域ではより大規模な形で実施されていた。本年冬季は内モンゴルも暖冬で、地温と土壌水分データが回収され、砂嵐の生起や砂漠化に及ぼす温暖化の影響を考察する好機である。
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