2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17401014
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秋谷 裕幸 Ehime University, 法文学部, 准教授 (10263964)
|
Keywords | 中国語 / びん東区方言 / 福寧方言群 / 方言 / 周寧方言 / 寧徳方言 / 福安方言 |
Research Abstract |
最終年度の今年度は4月27日〜5月7日、9月7日〜9月28日、11月9日〜11月14日、12月24日〜1月7日と計四回の現地調査を実施した。主な調査対象は寧徳市虎貝方言であった。また同時にこれまでに蓄積した周寧県咸村方言、福安市穆陽方言のデータを繰り返しチェックした。当初の研究目的の通り、音節末子音-p、-t、-k、-?/-m、-n、-ηを保存する虎貝方言と咸村方言を詳細に記述し得た。明らかになったのは、α、ε、〓、〓など開口度の広い主母音に後続する場合にはこれら七種の子音が非常に安定しているが、i、y、eなど開口度の狭い主母音に後続する場合にはこれらの子音がきわめて不安定だということである。調査の際、寧徳市七都方言を観察する機会があったがやはり同様であった。寧徳市街地では-t/-nが-k/-ηにすでに完全に合流している。福安市穆陽方言は形態音韻論的にはこれらの子音の痕跡が認められるのであるが、単独の発音としてはすでに存在しない。びん東区においてこれらの子音を安定して区別できる方言を発見することはもはや相当に難しくなっていると思われる。本科研費研究で蓄積したデータは永続的な価値を有するであろう。調査報告に関しては、音系(音韻特徴以外)、字音対照(1000字)、語彙対照(600語)、例句対照(100例句)の部分はほぼ完成した(すべて中国語で執筆)。これらの部分については、研究成果報告書に公表する。概説部分等を完成させた後、来年度中にできれば中国で正式出版したいと考えている。
|