2006 Fiscal Year Annual Research Report
イラン・ファルス地方シヴァンド川ダム建設に伴う歴史資料・遺跡救済プロジェクト
Project/Area Number |
17401018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
片岡 一忠 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (50092515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常木 晃 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
山内 和也 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, 室長 (70370997)
西山 伸一 東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, 特別研究員 (50392551)
久田 健一郎 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (50156585)
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Keywords | 東洋史 / 考古学 / イラン / ファルス地方 / シヴァンド川 / 遺跡救済 / ダムサイト / アケメネス朝ペルシア |
Research Abstract |
本研究は、イラン南都ファルス地方に流れるシヴァンド川にイラン政府がダム建設を計画し、同国文化遺産庁が構文などの歴吏資料や遺跡の緊急発掘事業への参加を要請したことに応え、同地で遺跡・歴史資料の救済プロジェクトを実施することを目的としている。具体的には、同地区の歴史資料・遺跡の詳細分布調査を行い、それ自体が歴史資料となりえる時代ごとの詳細遺跡地図を作成すること、および緊急性を要する遺跡の発掘調査であり、同地区の歴史保全に貢献するための調査を実施している。 2006年度も2005年度からの継続である2つの現地作業を、2006年7月〜8月、および2007年3月に実施した。第1の作業は、先史時代洞窟遺跡の発掘調査、第2の作業は衛星画像を活用した詳細遺跡調査である。前者に関わる調査では、前年度に試掘調査し、きわめて有望であったエシュカフテ・バッジ・バハラミ遺跡で洞窟内の発掘調査を行い、南東ザグロス地域ではじめて、旧石器時代終末期から新石器時代にかけての連続した良好な文化層を明らかにすることができた。特に前年度に行えなかった動植物遺存体の採取と、放射性炭素年代測定用炭化物資料の採取を行うことができ、絶対年代の確定と当時の生業を推定するための貴重な資料が得られた。これまで南東ザグロス地域では、人類の歴史の大転換点である旧石器時代から新石器時代への変換に関わる遺跡調査は皆無であったが、この調査により、ザグロス山脈東部のファルス地方にも、この重大な転換期の文化層が存在していたことが改めて明らかになった。また、動物骨資料の研究からは、この地域で牧畜が古くから始められていた可能性が出てきている。第2の作業である遺跡踏査では、詳細な遺跡分布と先史時代から現代に至るまでのトランスヒューマンスが解明されつつある。
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Research Products
(4 results)