2005 Fiscal Year Annual Research Report
英仏所蔵敦煌・吐魯番出土漢文文献の古文書学的比較研究
Project/Area Number |
17401020
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関尾 史郎 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70179331)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄 幸子 関西大学, 外国語教育研究機構, 教授 (00282963)
鶴田 一雄 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40180062)
柴田 幹夫 新潟大学, 国際センター, 助教授 (30293244)
岩本 篤志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助手 (80324002)
|
Keywords | スタイン文書 / ペリオ文書 / 漢文文書 / 敦煌文献 / 吐魯番文書 / 古文書学 |
Research Abstract |
1.平成17年度は,大英図書館所蔵の敦煌文献ならびに吐魯番文書について閲覧調査を行った.いずれも中国国内に所蔵されているものとの比較を前提としている.このうち,吐魯番文書については,オーレル・スタインが第3次中央アジア探検で将来したものだが,そのうち,五胡時代と麹氏高昌国時代のものについて集中的に閲覧した. 2.五胡時代の吐魯番文書は,アスターナ古墓群の2区1号墓,6区1号墓,6区2号墓,および6区4号墓などから出土している.ただしこれ以外の2区,6区の墓葬も五胡時代のものである可能性は否定できない. また4世紀の出土例は木簡1点だけで,紙文書はいずれも5世紀に下るものばかりである.6区2号墓から出土した馬受子文書の「馬受」は,カラホージャ91号墓出土の條程文書にも名が見えており,同一人物の可能性が高い.これも含めて上行文書が2点あり,郡の某曹から太守に達したものである.なお6区4号墓からは,「馬宝安」とかかれた絹が出土しており(墓主の姓名であろう),この6区は馬氏の一族墓だった可能性が高い. 3.麹氏高昌国時代の吐魯番文書は,アスターナ古墳群の1区2号墓,9区3号墓などから出土している(これ以外に出土墓不明のものあり).またトユク遺址からも3点出土している.このうち重要なのは,1区2号墓から出土した10点の帳簿で,他には例を見ないものである.内容から高昌国末期の7世紀のものと判断されるが,某人の公私にわたる負債を列挙したものとする見解が既に出されている.頻出する「負」字に注目してのことだが,実見したところによると,帳簿でありながら,年月日が明記されておらず,いつの時点での負債総額なのかも不明であり,また負債者として同じ人物や寺院が複数回登場しており,なお検討の必要がある.
|
Research Products
(2 results)