2007 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア(タジキスタン)における仏教と異思想の交渉に関する調査・研究
Project/Area Number |
17401023
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
蓮池 利隆 Ryukoku University, 仏教文化研究所, 客員研究員 (50330022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 至弘 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30127063)
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Keywords | 考古学 / ゾロアスター教 / ミスラ(ミトラ)神 / 方形仏堂 / 初期浄土教 / 地下レーダー調査 / トハーラ期 / 東西交渉史 |
Research Abstract |
仏教学における多角的研究がおこなわれるにともなって、仏教文化学的調査の必要性も益々高くなっている。特に、庶民を中心に展開した大乗仏教に関しては、文献学的研究のみではその全体を把握することは困難であり、仏教考古学や民族学的アプローチが不可欠となる。例えは、当研究の目的の一つである阿弥陀仏の起源解明などは、文献学的に結論を得ることは不可能であり、都城址内の仏教遺跡発掘などを通してはじめて明らかになる課題である。当該研究、カレ=コファルニホン遺跡調査もそのような目的をもって実施している。前年度に実施した地下レーダー調査のデータにもとづいて試掘調査予定地2ケ所を設定し、本年度9月に地形図作成及び試掘調査を実施した。地形図作成は遺跡の全体像を知る上でも必須のものである。平板とレベルを用いて遺跡北西部の図面を作成した。この作業によって旧発掘遺構との位置関係を確認することができた。また、衛星写真との対照によって偏角が+6.5°であることもあきらかとなった。次に、2ケ所の試掘調査でトハーラ期(7〜8世紀)の日干し煉瓦による壁を検出、都城内の工房址であることを確認した。この試掘によって、土器片やその他多数の遺物も採取することができた。特にテラコッタの仏像を作成するための型の出土は本件研究のテーマに相応しいものである。高さ10センチほどの小品ではあるが、それだけに庶民の間に普及したものであったことを推測できるものである。眉間に描かれた白毫(びゃくごう)相と二段に描かれた頂髻(ちょうきつ)相は三十二相の中の二つで、仏陀像の特徴をよく示している。また、この仏像の膝元にはゾロアスター教の拝火檀が配されており、仏陀はそれに手をかざす姿勢として描だれている。「仏陀と異思想の交渉」を示す格好の資料である。成分検査のための試料10点をタジキスタン科学アカデミーの依頼で持ち帰っている。
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Research Products
(6 results)