2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17401025
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
常木 晃 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70192648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 裕 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (60261749)
中村 徹 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60015881)
久田 健一郎 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (50156585)
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Keywords | 都市化 / 西アジア / 新石器時代 / 集落の発達 / 職業専業化 / 長距離交易 / 高度な工芸品 / 原都市 |
Research Abstract |
研究代表者が1997年よりシリア政府文化財博物館総局と共同で調査・研究を進めている北西シリアのエル・ルージュ盆地に所在するテル・エル・ケルク遺跡は、南北約1km、東西約400mの広がりを有する巨大なテル(人工的な遺丘)の複合体で、西アジア新石器時代で最大級の集落遺跡である。1997年から6シーズンにわたる発掘調査の結果、約10,000年前の先土器新石器時代B期初頭から約8000年前の土器新石器時代終末にかけての長期にわたる文化層が連続して発見され、特に約8,800年前の先土器新石器時代B期末〜土器新石器時代初頭にかけて、16haもの広さを持つ大型集落が営まれていたことが判明してきた。そしてそれは、単に規模が巨大なだけではなく、職業専業化や長距離交易の発達、それに高度な工芸品の製作といったような、複雑化した複合的様相を内包した、原都市といってよい社会を呈していたと考えられた。 私たちのこれまでの研究成果を真正面から評価すると、南メソポタミアで発生したとする都市起源の従来の定説を大きく逸脱し、しかも年代が3000年以上も遡ることになってしまう。そのためにケルク遺跡の集落規模やその複合的様相について疑問を呈する研究者も少なくない。そこで本科学研究費では、都市の起源問題に深く関わるテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査を再開・継続し、この問題についてのあらたな基礎資料を広く研究者に提供することを直近の目標としている。特に本研究では、都市形成の過程に焦点を当てた現地調査を実施する。 第2次調査初年度にあたる2005年度においては、テル・アイン・エル・ケルクの東スロープに長大なトレンチを開け、新石器時代の厚い文化層の編年的発展過程を確定することに力を注いだ。これは、ケルク遺跡がどのように形成されていったのかを、実際の考古資料から復元していくためである。
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Research Products
(3 results)