2006 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産ガッラ・プラチディア廟モザイク壁画の保存修復調査と修復技法の実証的研究
Project/Area Number |
17402001
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
工藤 晴也 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (90323758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 聡子 東京芸術大学, 美術学部, 教育研究助手 (40401468)
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Keywords | 年代測定 / 古環境 / 材質分析 / 制作技法 / 保存科学 / 文化財 |
Research Abstract |
第一次7月14日〜7月27日、第二次11月11日〜11月20日、第三次3月8日〜3月16日の3回の現地調査を行った。第一次調査では、研究室において制作を進めていた模写図版を現地に運び、ガッラ・プラチディア廟内において実際の色調との相違点を確認し、修正作業を行った。また、イタリア側研究協力者と協議し、金箔ガラス部分の描画材料を顔料から金粉に変更し、以後の模写において実行した。保存修復調査対象となる全面においてオリジナル部分と修復部分の調査を行った。ヴォールト全体像の写真を前年度に撮影した写真を基に合成し基礎資料として完成させた。ルネッタ全体の図像の線描作業を行った。前年度10月に設置した温湿度計のデータを収集し、9ヶ月分の温湿度変化を記録した。ガッラ・プラチディア廟モザイク壁画の比較研究として時代を前後して造られたミラノのサン・ロレンツォ・マッジョーレ教会及びサンタ・アンブロージオ教会に残るモザイク壁画の撮影を行った。第二次調査では、歴史的修復におけるオリジナル部分との制作技術の比較考察を行うための資料図版の作成を行った。オリジナル、古代に行われた修復、19世紀に行われた修復の三つに分類し、葡萄、葉、アカンサス、予言者の顔を調査対象として選んだ。調査項目は、テッセラの形、目地の状態、目地の流れ、図像、以上とした。模写図版の色彩の修正を行った。第三次調査では、第二次調査に引き続き制作技術の比較考察を行った。現地観察を基に、表面沈着物、テッセラの欠落、金箔テッセラの損傷、壁体の状態、窓周辺の状態、化粧漆喰の亀裂、モザイク基礎壁面の亀裂、以上の項目に分類し、関連する写真を選択し編集作業を行った。オリジナルモザイク(葉)について、テッセラの大きさと形の特徴、目地の状態、目地の流れ、色彩、テッセラの材料、モルタルの材料、図像の特徴、図像の輪廓の処理、以上について考察を行った。ガッラ・プラチディア廟において比較考察を行う全ての箇所の実測を行い、写真に記録した。模写図版の修正作業を行った。 研究室では現地調査で作った資料の整理と編集作業及び模写図版の制作を継続的に行っている。
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